Aロッド騒動から見えた、メジャーと薬物問題

MLBは薬物汚染からの浄化に本腰を入れ始めた

 9日からの本拠地ニューヨークでのタイガース3連戦では、さすがに周囲の「声」は五分五分になった。「We are 100% behind of you(私たちは100%あなたの味方です)」というメッセージボードを掲げるファンもいれば、ブーイングを浴びせるものもいた。

 しかし、16日からヤンキースが宿敵レッドソックスの本拠ボストンに行くと、騒動は再び過熱。フェンウェイパークはシカゴ以上の大ブーイングに包まれ、今度は「You use Steroid!(お前はステロイドを使っている)」の大合唱が巻き起こった。

 4戦目には、先発のライアン・デンプスターがAロッドに対して3球続けて内角に際どいボールを投げた揚げ句に4球目をぶつけて、ヤンキースのジョー・ジラルディ監督が激怒。デンプスターを退場処分にしなかった主審への猛抗議で退場となり、両チームの選手がベンチから飛び出して大乱闘になりかけた。この投球にはさすがに批判の声もあり、デンプスターには後から5試合の出場停止が科されたが、支持する者も少なくなかった。

 一連の騒動で明らかになったのは、MLB、そしてアメリカのファンが薬物汚染からの浄化に本腰を入れ始めたということだ。

 今回の問題は、15年前のMLBならばうやむやのままにしていたかもしれない。しかし、クリーンなイメージの強かったブラウンを徹底的に調べ上げて処分するなど、断固たる姿勢を貫いた。まだ処分はおろか、疑惑が真実であるかも分からないAロッドに対するファンの尋常ではない怒りも、薬物使用に対する嫌悪感が表れたものと言える。薬物まみれだった1990年代から、メジャーリーグは大きく変わろうとしている。

 一方で、その調査の目をかいくぐるように、新たな手法で禁止薬物の使用を始める動きも必ず出てくるだろう。ただ、その時こそファンは許さない。メジャーリーグの未来のためにも、Aロッドへの最終処分がどうなるかに全米中が注目している。

【了】

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