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【特集・イチロー4000本安打の価値】第1回 シアトルマリナーズ・川崎宗則編

一番弟子は歴史的瞬間を目の当たりにした。その場に居合わせたことは、運命としか思えなかった。イチローが日米通算4000本安打を達成したボールがレフトから戻ってくると、セカンドを守っていたブルージェイズの川崎宗則は大事そうに手で拭いて、名残惜しそうに一塁側へと引き渡した。

マリナーズ

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歴史的瞬間を目の当たりにした一番弟子

 一番弟子は歴史的瞬間を目の当たりにした。その場に居合わせたことは、運命としか思えなかった。イチローが日米通算4000本安打を達成したボールがレフトから戻ってくると、セカンドを守っていたブルージェイズの川崎宗則は大事そうに手で拭いて、名残惜しそうに一塁側へと引き渡した。

「いやあ、鳥肌が立ちましたよ。その場にいられた、と。しかも守っていた、と。一番最初に日本人で4000本のボールに触ったのは俺だよ! 同じボールなんだけど、全然違うボールのような感じがした。何か、ずしっとした思いがね。だからボールをこすって、自分の体に塗りまくったね。もう、あれは本人には返さないですよ。僕が持っているべきでしょうね。そんなのは、人にやるものじゃないし、僕が大事に保管しとかなきゃいけないと思うしね。…そんなわけないでしょう(笑)」

 メモリアルボールの行方を気にする報道陣をからかう川崎は、いつもよりさらにハイテンションだった。

 昨年、尊敬するイチローを追って海を渡ってきた。ほとんどの選手が本場メジャーでのプレーに憧れるのとは違い、「イチローさんと一緒にプレーしたいから」と公言してマリナーズに入団。しかし、「師匠」は7月にヤンキースに移籍し、離ればなれとなった。シーズンが終わると、川崎自身もマリナーズとの再契約には至らなかったが、日本には戻らずにイチローと同じ舞台でプレーを続けることを選択。そして、開幕直前にヤンキースと同地区で対戦の多いブルージェイズとの契約にこぎ着けた。

 今季はマイナーとの行き来を繰り返す日々が続いたが、不思議とヤンキースと対戦する時には必ずメジャーにいた。まるで何かに導かれているかのように。

 今回も同じだ。7月13日に今季2度目のマイナー降格となったが、8月14日にメジャー復帰。16日からは夫人の第一子出産に立ち合うために産休制度を利用してチームを離脱したが、ヤンキースとの4連戦が始まる同20日にぴったりと合わせて再合流した。しかも、イチローも同9日に4000安打に残り8本としてから7試合で26打数3安打と急激にペースダウンしたが、川崎がいるブルージェイズとの対戦を待っていたかのように直前から再びギアを上げ、21日に偉業を達成した。

「いつもそうなんですけど、毎日ハッピーに、どんなときも前を向いて楽しくやっていると、神様が決めたことにどうこう言うことはない。ただ、こういうタイミングというか、野球の神様が『イチロー選手に気合を入れてもらえ』と言っているのかもしれないね」

 川崎にとって、それはあまりにも特別な瞬間だった。

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