伝説のクローザー、マリアーノ・リベラは現役最後のシーズンを飾れるか

リベラが打たれてもチームは崩れない

 これまで伝家の宝刀カットボールで、金字塔を打ち立てた。直球を織り交ぜることはあるものの、カットボールの割合はキャリアの80%を超えるという。95マイル(約153㌔)の速球が、打者の手元で時には20センチも急激に変化すると言われている。甘い球だと思って振りに行けば空振りするか、バットを無惨に折られ、ボールと判断して見送れば、急激な変化でストライクゾーンに入ってくる。

 あの松井秀喜が、ヤンキース入団初年度のキャンプでのフリー打撃で、リベラのカットボールに空振りをしたのは有名な話。「内角球」とだけ伝えられ、球種は知らなかったものの、あまりのキレに目を丸くする姿は周囲の爆笑を誘った。今季は球速が3~4マイルほど落ちているものの、コーナーに投げ分ける抜群のコントロールは健在だ。

 絶対的な存在感はチームに安定をもたらす。だから、たとえリベラが打たれても、チームは崩れない。たとえば、5月28日のメッツ戦。黒田博樹と新鋭マット・ハービーの壮絶な投げ合いとなった一戦だ。

 ヤンキースが何とか点を奪い、1―0で迎えた9回。リベラは長いキャリアで初めて1死も取れず、3連打を浴びてサヨナラ負けを喫した。今季初のセーブ失敗に「自分が投げるまでは最高の試合だった。あのまま勝たなければいけなかった」と肩を落としたが、チームメートの見方は違っていた。

 イチローは「あの人が打たれて負けたら、どうしようもないですよ。そういう存在ですから」と話し、白星を消された黒田でさえも「マリアーノが打たれたら仕方ない。彼に今までたくさん助けてもらっているので。今後もまた助けてもらうことがたくさんあると思います」とスッキリとした表情で振り返っている。

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