敵将の言葉から探る「巨人独走を許した分岐点」~広島編~

菅野との対戦で1勝4敗と負け越した広島

 9月25日、広島カープが球団創設で初めて、クライマックス・シリーズ進出を決めた。巨人には15ゲーム差以上離されたが、再び王者を倒す挑戦権を得た。

 広島・野村謙二郎監督は「投手では新人の菅野くんがローテを守り、中継ぎなども投手陣がそろっていた。今までの投手と新しい力が合わさってより強くなった」と今季の巨人の強さについて語った。

 野村監督が新人右腕の名を挙げたのも無理はない。菅野とは7試合も対戦し、1勝4敗と負け越した。つまり、巨人とのカードの大半で菅野と対戦し、土をつけられたことになる。菅野の広島との対戦防御率は2.36。他の球団に対してはすべて3点以上であり、菅野が最も得意としていた球団が、まさにこの広島だった。

 最初の対戦がすべてだったのかもしれない。それは公式戦ではなく、3月14日にマツダスタジアムで行われたオープン戦だった。広島打線は菅野に6回2安打無得点。完璧に封じこまれた。

 その2週間後。菅野のプロ初登板は3月30日の広島戦(東京ドーム)だった。クレバーな菅野は、オープン戦で仕入れた情報を軸に7回を無失点とナイスピッチング。オープン戦同様、カープ打線は手も足も出なかった。4月20日のマツダスタジアムでの試合でも菅野に敗れた。新人離れした駆け引き、コントロールの良さ、速球のキレ・・・。オープン戦で受けた衝撃を完全に引きずっていた。

 彼をようやく打ち崩せたのは9月15日のマツダスタジアムでのゲーム。積極的に打ちに行く姿勢で攻略の糸口をつかみ、1番の丸が3安打の活躍を見せて5回までに5得点を奪った。

 オープン戦の呪縛から抜け出すのに時間がかかったが、遅すぎることはない。まだ、汚名を返上するチャンスは残されている。クライマックス・シリーズのファイナルステージで菅野を倒せば、リーグ戦の敗戦も決して無駄にはならないだろう。そのためにも、まずは阪神との決戦に全精力を注ぐ。

【了】

フルカウント編集部●文 text by Full-Count

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