古巣・レンジャーズの地元紙も上原浩治を称賛

レンジャーズ時代に経験した屈辱を跳ね返した上原

 悪夢を乗り越えて頂点にたどり着いた守護神の快挙を古巣も祝福している。

 ワールドシリーズ第6戦でカージナルスを破り、95年ぶりの地元Vを達成したレッドソックス。この試合でも、最後は上原浩治が登板し、見事な投球で試合を締めた。米全国紙のUSAトゥデーは、世界一が決まった瞬間に上原が高々と右手を突き上げている写真をスポーツ面のトップで掲載し、地元紙のボストン・グローブも1面で守護神が歓喜する写真を大きく取り上げた。

 そして、上原が昨季まで所属したレンジャーズの地元紙ダラス・モーニング・ニュース電子版も、AP通信が配信した原稿を引用して記事を掲載。「前レンジャーズのリリーバーであるコージ・ウエハラが、レッドソックスと共に一つの幸福な章を終わらせる」と題して、大きく取り上げている。

 記事では、上原がタイガースとのリーグ優勝決定シリーズでMVPを受賞した後も好投を続けたと絶賛。このワールドシリーズで1点も与えず、5試合に登板して4回2/3で2安打しか浴びなかったことを紹介。ただ、打率6割8分8厘で今シリーズMVPに輝いたデビッド・オルティスには主役を奪われたとも書いている。

 上原は開幕当初はクローザーではなかったが、ジョエル・ハンラハン、アンドリュー・ベイリーの故障もあり、田澤純一を経由して6月に就任。レギュラーシーズンでは24回のセーブ機会で登板して21セーブを挙げた。

 ジョン・ファレル監督は「コージはハンラハンとベイリーの故障で、今季4人目のクローザーをやることになった。開幕とシーズン終了を同じロースターで迎えられるかなんて分からない。それはごく稀なことだ。しかし、このロースターの層は厚く、何の問題もなく10月まで終えることが出来た」と話し、けが人の穴を埋めるどころか、躍進の象徴にまでなった守護神の活躍を称えている。

 さらに、テキサスの地元紙らしく、上原がレンジャーズに所属していた2011年にプレーオフで悪夢のような経験をしたことも紹介。当時は、カージナルスとのワールドシリーズのロースターに入れなかったことにも言及している。地区シリーズでは1回の登板でアウトを取れず防御率が無限大になり、リーグ優勝決定シリーズの2試合で2死ずつを奪ったものの防御率は13.40。史上初のポストシーズン3試合連続本塁打を浴び、ワールドシリーズでメンバーから外された。

 ただ、事あるたびにその屈辱を話題に出されることも、もうなくなるだろう。同紙は、地区シリーズでのサヨナラホームラン以外、1点も失うことがなかった今ポストシーズンの上原の投球内容について詳しく触れている。米国中の話題をさらった守護神の驚異的なピッチングを、レンジャーズファンはうらやましく思っているに違いない。

【了】

フルカウント編集部●文 text by Full-Count

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