リベンジの1年へ 松坂復活へのキーワードは「メッツ」と「カーブ」

完全復活へのカギを握る“カーブ”

 この言葉通り、この次の試合から3連勝を飾って今季をフィニッシュした。最後の4試合は変化球主体の投球で3勝0敗、防御率1・37。メジャー3年目の2009年以降は「安定感の継続」が課題だったことを考えると、18勝を挙げた2008年にようやく近付いたと言えるかもしれない。カーブだけでなく、プロ入り後はあまり投げなかったスプリットでも打者を手玉に取るなど、引き出しの多さを見せた。その投球センスが超一流であることを改めて証明した形だ。

 メッツと松坂は、シーズン終了後から残留を前提とした交渉を続けている。今月中旬のGMミーティングで、メッツのジョン・リコGM補佐は年内にも松坂との再契約がまとまるとの見解を示した。オリックスを率いたこともあるテリー・コリンズ監督の続投が決まったことも、残留へプラス材料となるだろう。指揮官は「必ず獲得リストに入る」と再契約での残留を熱望している。

 松坂本人も日本人投手について熟知しているコリンズ監督に信頼を寄せている。メジャー初戦の後には、こんなことを話していた。

「(初めて話したときに)すぐピッチカウントのことを言われて。『ここは日本じゃない。甲子園じゃないから球数制限を設ける』ってすぐ言われました(笑)。日本人に対して理解があるというのは僕にとっては大きなことだと思いますし、僕を楽にしてくれる環境だと思います」

 もちろん、チームが決まるまでは、どんな結末が待っているか分からない。ただ、メッツが松坂に最もフィットする球団であることは間違いないだろう。そして、完全復活への鍵を握るのはカーブ。本人は直球に対するこだわりも捨てていないが、苦しくなったときに頼れるボールがあることは大きい。変化球主体の投球は、「怪物」のイメージからはかけ離れているかもしれない。だがメッツで、新たなスタイルの松坂で、“リベンジ”の1年を送ることも、また爽快ではないか。

【了】

フルカウント編集部●文 text by Full-Count

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