カノとの大型契約を結んだマリナーズをシリング氏らが批判?

カノの移籍に聞こえる非難の声

 ヤンキースからマリナーズに移籍したロビンソン・カノ二塁手の10年2億4000万ドル(約247億円)という大型FA移籍がメジャー全体で物議をかもしている。フロリダ州レークブエナビスタで開催中のMLB関係者が勢揃いするウィンターミーティングで、マリナーズのジャック・ズレンシックGMがロビーに姿を表すたびに嘲笑や侮蔑のささやき声が巻き起こるという。マリナーズ史上最大の補強で、昨季91敗、ここ4年間で374試合も負けているどん底のチーム再建を狙ったGMに対して、聞こえるのは非難の声のみだというのだ。

 メジャーの有識者の統一見解は、この契約は無謀で無責任というもの。かつての名投手カート・シリング氏は非常に手厳しい。USA・TODAY紙によると、同氏は「この10年契約がうまくいくわけがない。カノはいい選手だし、この後、4、5年はいい成績を残すだろう。だが、この契約は良くない。野球界で怪我せずにプレーし続けることは不可能だ。5年後にはこの巨大な契約が強化費を蝕むに違いない」と批判しているという。現在31歳のカノだが、10年後、いや、5年後に超一流の活躍できる保証はどこにもない。そうなれば、衰えた二塁手に対する年間2400万ドル規模の巨額年俸は、チーム強化費を圧迫する足かせになる可能性がある。

 この指摘に、渦中のズレンシックGMは声高に反論する。「誰が何を言おうが、書こうが勝手だが、シアトルは今沸いている。どんな時でもチームが強化されれば、特にスター選手がやってくるなら、シアトルの誰にとっても素晴らしいこと。スターが我々のマーケットにやってきたこと自体が素晴らしいことなんだ」と強弁している。

 一方、マリナーズとの争奪戦の末に、生え抜きのスターに逃げられた格好のヤンキースのブライアン・キャッシュマンGMがカノの決断を擁護したことも、また話題となっている。

 同GMはウィンターミーティング中、米ESPNの取材に対し、「彼には(カノの総年俸の)2億4000万分、シアトルに行く理由がある。もしも私でも同じ移籍をしただろうね」と答えている。さらに「ロビー(カノ)には移籍して欲しくなかったが、我々の最終的な提示は7年契約1億7500万ドルだった。もっと出したチームが彼を獲得しただけだよ。誰の目にも彼は素晴らしい選手だが、評価はそれぞれ異なる。今回は異なる2チームが1人の選手を争い、そのオファー内容が違ったということ」とコメント。キャッシュマンGMは9シーズン過ごした至宝の想定外の離脱にも淡々とした様子だった。

「彼はヤンキースと殿堂入りの道を歩んでいた。シアトルでも同じ道を歩んでくれることを祈るだけだよ。我々にとっては素晴らしい選手だったが、チームは毎年変わるもの。多くの選手を新たに獲得するし、育ってくる若手もいる。トレードもある。それが競争社会というもの」。今オフ、すでにカルロス・ベルトラン外野手、ブライアン・マッキャン捕手などFA市場の大物を次々と獲得しているキャッシュマンGMはカノに対して未練をみせなかった。

【了】

フルカウント編集部●文 text by Full-Count

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