阪神・岩田稔投手らが力を注ぐ、後世に伝えていきたい支援活動

選手たちが行っている支援活動の数々

 プロ野球はオフに入り、様々な活動が行われている。学校や病院、孤児院など、普段はなかなか行けない場所を訪問したり、母校に帰って子供たちと触れ合ったり。その際、子供や患者の目もまばゆく輝いている。

 阪神の岩田稔投手は福井県へ出向き、糖尿病と戦う子供たちや家族と触れあった。岩田は高校2年生の時に原因不明の1型糖尿病を発症。この病気は過食や運動不足の生活習慣からくる2型糖尿病とは異なり、口渇(こうかつ)多尿、体重減少などの症状が急性に起こる。

インスリン治療が必要で、岩田も17歳の時から注射を打ちながら、夢に向かって戦い、プロのマウンドに立った。同じ病気の人には、岩田のマウンドで投げる姿がなんとも頼もしく、励みになったことだろう。子供たちや家族も目の前に病気と闘いながら頑張っているお手本がいるとあって、岩田の発する経験談に真剣に聞き入った。「みんなも笑顔で頑張りましょう」という言葉に心が救われたに違いない。

 岩田は11月中にも大阪府内の病院を訪問し、笑顔をもたらしてきた。レクリエーションの時間はあっという間に過ぎた。岩田は1勝につき、10万円を原因不明の病気の研究資金として、寄付をしてきた。今年は2勝5敗と不本意な成績だったが、特別な思いで毎年、白星を重ねている。

 巨人の村田修一内野手も長男が早産で未熟児だったこともあり、新生児医療のために、1打点1万円を積み立てて、「ささえるん打基金」としている。今季は92打点分の92万円を神奈川県立こども医療センターに寄付した。

 あまり知られていないが、村田の長男と同様のケースは多い。当時は未熟児を受け入れる施設、病院が少なく、少しでもその環境が整えばいいと村田自身が積極的に活動を続けてきた。来年から積み立ての対象を安打数にする予定で150万円以上の寄付が期待されている。村田も、子供たちやその家族のために奮闘することだろう。

 現役を引退したが、元阪神で野球解説者の赤星憲広さんは、2001年に出会ったファンがきっかけとなって、「Ring of Red」の活動をスタート。足の不自由な方からの応援が心に染み、戦う原動力となったことから、1盗塁につき、1台の車いすを寄贈してきた。元ヤクルトの宮本慎也内野手も日本盲導犬協会に1安打1万円を基金として積み立てるなど、視覚障害者の支援を続けてきた。

 挙げればまだいくつもある支援活動。選手たちが行うことで、可能性も無限に広がっていく。野球選手の全力プレーにはそれだけの影響力がある。今の選手たちの中には、そのような活動を行ってきた先輩たちの影響によって、自身も行うようになった者も少なくない。このような活動が後世に受け継がれていくことは野球界にとっても意義深いことだと言える。

【了】

フルカウント編集部●文 text by Full-Count

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