西武が狙う巨人の人的補償メンバーはだれ?

内野手が手薄になっている西武

 西武から巨人へとFA移籍した片岡治大内野手に関連して、今度は人的補償リストが巨人から西武に届いた。西武はその中から、どんな選手を選ぶのだろうか。ロッテへ移籍した涌井秀章の抜けた先発投手も考えられるが、目先の補強としてはやはり内野手になるだろう。

 西武を率いる伊原監督は将来の主力候補となる金子侑司内野手(23)をショートのレギュラーに据えようとしている。今季打点王の浅村栄斗(23)を二塁で起用するプランも浮上しているが、高い守備力を誇る永江恭平内野手(20)、鬼崎裕司内野手(30)が二塁を守り、浅村を三塁、おかわり君こと中村剛也(30)を一塁で起用するのが現時点で自然の流れと言えるだろう。

 しかし、永江も鬼崎もいい選手ではあるが、攻撃力に欠ける。一方で、片岡の流出で西武は内野手が手薄になっている。そこで人的補償で巨人から獲得する候補に挙がってくるのが、藤村大介(24)、脇谷亮太(32)、立岡宗一郎(23)といった二塁手のできる選手たちだろう。彼らは来年加入する片岡や井端弘和(38)、ポストシーズンでも活躍した寺内崇幸(30)ら5人以上と巨人でレギュラー争いをしなくてはならない。勝ち抜くのは大変なことだ。

 藤村大介は、一昨年の盗塁王。俊足ではあるのだが、守備がまだ未熟なプレイヤーで、打撃も好不調の波があり、完成しているとは言い難い。ただ、走力に関しては12球団トップレベル。伊原野球に“はまる”可能性は十分にある。打撃に関してもまだまだ伸びしろのある選手で能力も高い。

 脇谷亮太は、一昨年、右肘の手術を受けて、巨人と育成契約を結び、長いリハビリ生活を乗り越えた。今年は開幕戦の広島戦で決勝タイムリーを放ち、お立ち台に上がった。二塁だけでなく、三塁もこなし、なおかつパンチ力もある。外野の間を抜けていく打球は痛烈。プロテクトされている可能性もあるが、外れているのであれば、高い戦力として加わることになる。

 立岡宗一郎は思い切りのいいスイングが売り。走攻守3拍子そろった内野手だが、昨年7月のイースタン・リーグ楽天戦では左肘靭帯を損傷する大怪我を負った。フォロースルーを取れなかったため、不慣れな左打者に挑戦し、生きる道を見出した。左打席を自分のものとし、今年はプロ初安打を放つなど、つぼみが咲いた若手内野手。守備はまだ荒削りだが、内外野を守れるのも強み。使ってみたくなる選手である。

 伊原監督といえば、1987年の巨人と西武の日本シリーズでの伝説の走塁が思い浮かぶ。第6戦の8回裏、西武が2-1と1点リードで迎えた二死一塁の場面で、秋山幸二がセンター前にヒットを放った直後だった。通常は一、二塁もしくは一、三塁になるが、一塁ランナーの辻発彦は一気にホームイン。その際、西武の三塁コーチだった伊原監督は、相手のセンター・クロマティの返球が緩慢であったことや、ショートの名手・川相昌弘の打者走者ばかりを気にする癖を見抜き、辻に突入を指示していた。その洞察力と判断力は見事だった。

 そんな指揮官が率いる西武が上記の3選手を高く評価している可能性はある。伊原監督の緻密な野球を教え込めば、より攻撃のバリエーションが広がるからだ。球団関係者はリストを見て、いい選手がいたことをほのめかした。年明けの決定が注目される。

【了】

フルカウント編集部●文 text by Full-Count

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