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マー君獲得を狙うヤンキースの足かせになる“贅沢税”の知られざる仕組みとは

名門球団の足かせとなるのが、いわゆる“贅沢税”。その仕組みは意外にも正確に認識されていない。特に、所属選手の総年俸が、各プレーヤーの契約総額の年平均で計算されることは盲点となっている。

ヤンキース

正確に認識されていない“贅沢税”の仕組み

 楽天が田中将大投手(25)のメジャー挑戦を容認したことで、米国での争奪戦が本格的にスタートする。中でも、獲得に向けて最も熱心と言われているのがヤンキースだ。しかし、名門球団の足かせとなるのが、いわゆる“贅沢税”。その仕組みは意外にも正確に認識されていない。特に、所属選手の総年俸が、各プレーヤーの契約総額の年平均で計算されることは盲点となっている。

 “贅沢税”とは、各球団のメジャー40人枠に入っている選手の総年俸に対する課徴金のこと。2003年からスタートした制度で、戦力の均衡が目的とされている。今季の規定額は1億7800万ドル(約185億円)で、超過したのは2億4300万ドル(約253億円)のドジャース、2億3400万ドル(約243億円)のヤンキースだけだった。

 ヤンキースはメジャー唯一、11年連続で規定額を超過。税率は連続するほど毎年引き上げられる仕組みとなっており、今季は同制度最大となる超過分の50%まで上昇した。つまり、ヤンキースは(2億3400万ドル-1億7800万ドル)×0・5=2800万ドル(約29億円)を納めることになっている。

 ただ、税率は1度でも規定額に収めることが出来れば、再び最小の17・5%まで引き下げられる。しかも、規定額は来季から1億8900万ドル(約197億円)に上がる。そこで、ヤンキースは、これを機に総年俸を規定額に収めることを目標に設定した。田中の争奪戦が契約内容の総額を競うマネーゲームになった場合、規定額を超えないことを考えるあまり、好条件を提示できない可能性があるのだ。

 一部では、初年度の年俸(つまり来季の年俸)だけを抑え、徐々に引き上げていく形にすれば、問題にならないとする声もある。例えば、3年総額3000万ドルの契約ならば、1年目の年俸を500万ドルにして、翌年を1000万ドル、3年目を1500万ドルとすれば、総額は変わらない。田中の場合は、ドジャースなど資金力豊富な球団が6年1億ドル(104億円)程度の契約を用意しているとも報道されている。“贅沢税”を払いたくないヤンキースも初年度さえ年俸の額を低く抑えれば、これと同等の内容を提示できるというのだ。

 ところが、実はこの方法は通用しない。メジャー関係者の説明によると、“贅沢税”は、その年の年俸ではなく、契約総額の年平均で計算されるという。さきほど挙げた例に当てはめると、3年総額3000万ドルならば、1年目の年俸が500万ドルでも、1000万ドルがその年の選手総年俸に加えられるのだ。総額が高ければ、1年目を抑えても何の意味もないということになる。

 すでに、ヤンキースの来季の選手総年俸は規定額に収めるには危うい額まで迫っているとされている。オーナーのハル・スタインブレナーは、「(規定額は)あくまで目標であって、命令ではない」とも話しているが、ヤンキースが田中獲得を目指すにあたり、“贅沢税”が悩ましい問題となることは間違いない。

【了】

フルカウント編集部●文 text by Full-Count

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