ヤンキース、ドジャースに有利? マー君の代理人をクロース氏が務める意味とは

クロース氏の太いパイプから考えられる田中の移籍先

 実際に、田中との交渉が解禁された26日には早速、ヤンキースがクロース氏に接触したというニュースが日米を駆けめぐった。地元紙ニューズデイが最初に報じたもので、関係者がその事実を認めているという。これを日本のメディアも大きく取り上げており、他にも複数の関係者がクロース氏にコンタクトを取ったようだ。メジャー球団としては、米東部時間で来年1月24日午後5時までしかない交渉期間を有効に使わなければいけない。契約成立までを考え、出来るだけ早く接触を図りたいと考えるのは当然だろう。そして、ヤンキースの熱意は本物だったということになる。

 そして、もう1つの有力候補と見られていたドジャースもクロース氏と親密な関係を築いている。現在の先発ローテーションで、1、2番手を任されているクレイトン・カーショー、ザック・グレインキーは、いずれもクロース氏の事務所エクセル・スポーツ・マネージメントの顧客だ。

 2011年、今年と2度のサイ・ヤング賞に輝いたカーショーは、ドジャースとの2年契約が切れたばかり。ただ、FA権を取得するのは来オフで、現在はクロース氏が契約延長交渉を続けている。シーズン中には、ドジャースが総額3億ドル(約312億円)程度での10年契約を提示したと報じられており、最終的には投手史上最高額での超大型契約が成立すると見られている。今オフに球団側と定期的にコンタクトを続けていることは、プラス材料となるだろう。

 一方、グレインキーは昨オフに入団した。エンゼルスからFAとなり、複数の球団が争奪戦を繰り広げたが、クロース氏は最終的に6年総額1億4700万ドル(約153億円)という投手史上2位(当時)の大型契約をドジャースから引き出している。これも球団側と良好な関係があったから。田中についても、今後は壮絶な争奪戦が確実となっているだけに、わずか1年前の交渉経験が生きてくる。

 もちろん、敏腕代理人として他球団とも太いパイプも築いていることは間違いない。それでも、田中がボラス氏やテレム氏ではなく、ジーター、カーショー、グレインキーを顧客に持つクロース氏を選んだことに、ヤンキースとドジャースは好感触をつかんでいるはずだ。26日付のニューヨーク・タイムズ紙でも「ヤンクスとドジャースは田中の代理人をよく知っている」と特集記事を組んでいる。今後、移籍先がこの2チームに絞られたという報道が出ても、誰も驚かないだろう。

【了】

フルカウント編集部●文 text by Full-Count

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