ナックルボーラー大家友和の挑戦 ブルージェイズ入団のメリットとは

夢のような復活劇を期待したい

 ブルージェイズには、2012年にサイ・ヤング賞に輝いたR・A・ディッキーという現役NO1のナックルの使い手がいる。招待選手として参加するキャンプでは、この右腕とトレーニングを共にする予定で、吸収することは山ほどあるだろう。入団会見では「ナックルボールは技術が向上すれば、いいボールが投げられるので楽しみ」と話しており、ポイントをつかめば大化けする可能性だってある。アレックス・アンソポウロスGMも「彼と契約することで、不利(リスク)になるものは何もない。彼はストライクを投げることができる。成功するかは分からないが、可能性も持っているし、意欲もある。ディッキーもいるしね」と期待を寄せる。

 また、チームのメリットも非常に大きい。

 投げた本人すらどんな変化をするか分からない魔球は、受ける捕手にとって厄介極まりないボールだ。ブルージェイズでは昨年、J・P・アレンシビアが正捕手を務めたが、ディッキーが先発の時にはトニー・ブランコやジョシュ・ソールがスタメンマスクを被った。それでも、暴投や捕逸を連発。過去にもナックルを投げる投手には「専属捕手」が付くことが多かったが、捕球するためには、それだけ技術が必要なのだ。

 ただ、キャンプに大家がいることで、捕手はブルペンでもナックルを受ける機会が多くなる。アンソポウロスGMは「キャンプに彼のような選手がいることは恩恵がある」と話しており、ソールや新加入のディオナー・ナバーロにとっては貴重な存在となるだろう。

 また、ブルージェイズにはA・J・ヒメネスという超有望株の若手捕手がいるが、シーズンが始まれば2Aで大家のボールを受けることになりそうだ。これについても、アンソポウロスGMは「確かにヒメネスには彼の球の受け方を学ぶことがプラスになるだろう」と認めている。ヒメネスにとっては将来のために技術的なプラスが望めるだけでなく、いつメジャーに昇格してもディッキーのボールを受けられるようになれば、非常に大きい。

 大家自身は、マイナー契約は当然ながら、招待選手という「権利」にもこだわらず、とにかく米国復帰を第一にチームを探していたという。ただ、結果的には古巣への復帰が叶い、さらにメジャーキャンプに参加することで首脳陣にアピールするチャンスも得た。「(ブルージェイズの提示は)来年の1年で終わるというよりも、その先を見据えたような条件だった」。未来へのビジョンをしっかりと描いている37歳には、どん底からでも這い上がる覚悟は出来ている。2014年シーズンでは、夢のような復活劇を期待したいところだ。

【了】

フルカウント編集部●文 text by Full-Count

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