メディカルチェックが最大の目的? マー君「緊急渡米」の意味とは

メディカルチェックの結果を全球団で共有するMLB

 新人ながら、メジャートップクラスの投手と肩を並べる総額1億ドル(約105億円)以上の超大型契約が見込まれている右腕に対して、懐疑的な声が上がることは避けられない。これらの「雑音」をいち早く封じ、不安要素を払拭することは確かに必要だった。

 しかも、現在のMLBのシステムでは、メディカルチェックの結果を全30球団で共有できる。いちいち当該チームのドクターによる診断を受ける必要はないのだ。交渉期間に限りがある新ポスティング、さらには獲得希望球団が殺到している田中に合わせた異例の措置だという情報も一部では報じられたが、実はMLBでは数年前からこの形を取っている。つまり、MLB全体で検査結果を共有し、それを各球団が独自に判断する形となっているのだ。

 この仕組みがあるからこそ、今回の田中の緊急渡米には大きな意味があった。いずれかの球団と合意に達すれば、メディカルチェックをクリアしているため、契約に向けた流れがスムーズになる。自主トレを中断し、コンディショニングに影響が出ることを覚悟してまでも、海を渡るメリットが確かにあった。

 さらに、各球団の首脳陣から話を聞いたことにも意義がある。米メディアの報道などによると、田中は代理人のケーシー・クロース氏とともに、ロサンゼルスを訪れてきた10数球団と約30分程度、面談を行ったという。その中には、ホワイトソックス、インディアンスといった、これまでには名前の挙がっていなかったチームも含まれていた。

 当初から、田中獲得に手を挙げるのは15球団以上にのぼると言われていた。ただ、新たなポスティングシステム(入札制度)で設定されている1か月という期間では、交渉のテーブルにさえつけないチームが多く出てくる可能性も指摘されていた。そこで、仮に意中の球団をいくつかに絞り込んでいたとしても、「1度でも話を聞きましたよ」という事実を作っておくことは、他球団を納得させるために重要だろう。それが30分程度の短い時間であったとしてもだ。

 もちろん、首脳陣と直接会い、「プレゼン」を聞いたことで、田中自身が思いもよらない発見をした可能性もある。それはそれで、儲けものだったということになる。

 これらの事情を考えると、今回の緊急渡米はむしろ必要不可欠だったと言える。田中本人が最良の選択をし、最高の契約を結べるように、やるべきことをやったというところか。結果として、どの球団と、どんな契約を結ぶのか、ますます目が離せなくなってきた。

【了】

フルカウント編集部●文 text by Full-Count

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