開幕1軍へ 広島期待のルーキー・大瀬良大地が乗り越えるべき壁

大瀬良が1軍のマウンドで投げるために必要なこと

 広島のドラフト1位ルーキーの大瀬良大地投手(22)が、新人合同自主トレから早くも高い評価を受けている。18日にはブルペン入りし、投球を披露した。「思っていたより、感じが良かったです。7割か8割くらいの力です」という大瀬良の投げ込みに、周囲からは感嘆の声。ヤンキースの黒田博樹の新人時代よりも上なのではないかなどという高評価も飛び出した。

 マウンド度胸、ストレートの威力は折り紙付き。広島はFA宣言して巨人に移籍した大竹寛の抜けた穴を埋めてくれる存在と期待をしている。2年前に新人王を獲得した野村祐輔投手らと同じ形でキャンプ、オープン戦と調整させ、新人王を獲得――というようなイメージもでき始めている。

 ただ、大瀬良が広島の1軍で投げるために乗り越えなくてはならない「壁」がある。広島投手陣を見たある球団スコアラーが「12球団でトップクラス」と絶賛するモノ。それは牽制、クイックのスピードだ。

 エースの前田健太はフィールディングも抜群だが、牽制もうまい。また、マエケン以上にうまい投手を現役選手に問うと、今村猛、横山竜士が広島では突出しているという答えが返ってくる。プロ野球界では通例、セットポジションからプレートを外し、ベースに投げるまでが1.1秒以内ならば速いとされる。そして広島の投手の場合はそのほとんどが1.1秒以内に投げているのではないかと感じさせるほど技術が高い。

 球界全体を見渡すると、阪神からDeNAに移籍した久保康友、西武からロッテに移籍した涌井秀章らが0.9秒前後とされており、これが球界トップレベルに位置する。左投手で見ると巨人の内海哲也、中日の岩瀬仁紀らが速いと言われているが、広島は全体的に見ても、クイックモーションの練習が徹底されていて、動作が機敏。「1.1秒前後でなければカープは1軍で起用しないという話を聞いた」(前出のスコアラー)というほどだ。それくらい広島の投手の備えるべきスキルとしてクイックの速さは重要視されている印象を受ける。

 大瀬良も牽制は決して遅くはないが、プロとしては未知数。これからキャンプ、オープン戦を通じて、練習していくことになるだろう。右投手の牽制のスピードはプレートを外した右足を使っていかに素早く地面を蹴り、回転できるかがカギ。大瀬良がその技術をどこまで高められるか。広島期待のルーキーがその壁を乗り越え、フィールディングも、牽制も、ピッチングも隙がない、球界を代表するエースへと成長していくことに期待したい。

【了】

フルカウント編集部●文 text by Full-Count

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