カブス社長が田中将大の契約金の高騰を分析

年俸高騰の理由は、才能を持つ選手の需給バランス

 メジャーで一球も投げたことのない選手に対してヤンキースが用意した条件は法外だと指摘する声もある。だが、年俸高騰の理由は才能を持つ選手の需要と供給のバランスだ。

 メジャーリーグはエクスパンションなどを経て、30球団となったことで保有する選手の数は増えた。しかし、タレント数には昔から限りがある。そして、メジャーの舞台で活躍するような若いタレントは、球団が契約満了となる前に高い条件で契約延長交渉を行い、手放さない傾向にある。マーケットの出物となる若き実力者の絶対数が限られているのだ。

「多くのチームが、才能を持ち、働き盛りの若さを持つ選手を求めている。しかし、需要に反して供給は少ない。FA権を取得する選手は年々少なくなっているため、そういう選手を見つけることはことさら難しい。海外でプレーする権利を手にしたキューバ人選手か、ポスティング制度でメジャーに来る選手で、1年に1人ぐらいなのではないか。だからこそ、そういう選手には驚くような値段がついてしまう。

 その選手はその値段に相応しいと証明しなければいけないし、球団の長期的なプランにフィットしなければいけない。しかしながら、テレビの放映権料収入などで、資金力に優れたクラブは数少ない魅力的なタレントに大金を費やすことが可能なのだ」

 エプスタイン氏はメジャーの移籍市場における、売り手市場の現実を淡々と説いていた。この分析が的確ならば、日本の球界で優れた実績を持ち、故障の問題を持たない若い才能が今後、ポスティング制度を経て、メジャーに挑戦する場合は、今回の田中のケース同様に大型契約を手にできる可能性は極めて高いといえよう。広島の前田健太投手にも衝撃的な値がつく可能性もある。そして、田中がメジャー1年目に期待通りの投球を見せることができれば、このトレンドはさらに加速するかもしれない。

【了】

フルカウント編集部●文 text by Full-Count

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