プロ野球の「練習試合」と「オープン戦」はどこが違う?

オープン戦の代わりに行われる練習試合の意味

 キャンプも中盤に差しかかり、各チームともに実戦形式の練習が増えてきた。日本ハムでは中田翔VS斎藤佑樹の対戦が紅白戦で見られたり、韓国プロ野球のチームと練習試合を行ったりしている。今月16日からは早くもロッテ-オリックス戦でオープン戦(石垣)が開幕する。その他のチームはその翌週の22日から、続々とオープン戦に入っていく。

 ただ、直後の23日の日曜日の後は5日間、オープン戦が組まれていない。代わりにその間、各球団ともに練習試合の日程を組んでいる。ここで、オープン戦と練習試合の違いを簡単に紹介したい。

 オープン戦はNPBが定めた日程で日本プロ野球団の12チームが対戦。チケットを販売し、興行として行う。一方の練習試合は球団間で話し合って日程やルールなどを決めるもので、観戦にチケット料金は発生せず、NPBの管轄でもない。

 オープン戦は公式戦とほぼ同様のルールの中で試合が行われ、公式記録員もおり、記録が残る。対照的に、練習試合はチーム同士でルールを決めることができるため、1度交代した選手がまた出場することもある。打者が10人いるケースも両軍が同意していればOK。今回の日本ハムのように、韓国プロ野球との試合を練習試合で組むこともできる。

 以上のような点がそれぞれの違いだが、練習試合は「戦略上の問題」もクリアできるため、各球団にとっては非常に助かる調整の場でもあるのだ。

 3月になるとほぼ毎日のようにオープン戦が入ってくる。開幕まで1か月を切り、各チームとも誰を1軍に残すのかなど、選手の振り分けの時期に入る。大変なのは登板機会が限られる投手陣たちだ。開幕ローテーションを任される投手は3月末の開幕に合わせて、中5日や中6日など登板日を逆算するケースもある。各チームのエースは開幕投手を目指しているため、登板が雨で流れないようにドーム球場で投げられるように登板日を準備されていることがほとんどだ。そのため、オープン戦の大半は先発ローテ投手たちが先発することになる。

 ここで練習試合の存在が効果的となる。その理由のひとつは、先発ローテ入りの当落線上の投手を練習試合で先発させて、適応能力を見るということがある。オープン戦では先発投手が決まってきてしまうことが多いため、こういう練習試合で若手などにチャンスを与え、判断材料にするのだ。

 また、興行として成り立たない時期(平日など)には、オープン戦が組まれず、1週間試合がないケースもある。先発ローテ投手が、登板から逆算した日に試合がなければ、調整に支障をきたすこともある。そこで練習試合があれば、登板間隔を維持し、自分の登板をコンディションの良い状態で迎えられるというメリットもある。それらのことを踏まえると、オープン戦だけでなく、練習試合を有効に使って調整することが、開幕で好スタートを切るポイントとなってくると言えそうだ。

【了】

フルカウント編集部●文 text by Full-Count

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