マー君を覚醒させたダルビッシュのレッスン 超一流同士だから分かり合えたアドバイスとは?

超一流同士だからこそわかり合えたこと

 ただ、忘れてはいけないのは、本人もブログで明かしているように、ダルビッシュの高等なアドバイスを消化できたのは田中だったからだということ。おそらく、他の誰かでは理解できない内容だったのだろう。超一流同士だからこそ、分かり合えたのだ。

 実は、田中は入団当初から楽天の野村克也監督(当時)に「直球で空振りを取れない」と指摘され続けていた。言われれば言われるほど、ダルビッシュがブログで表現したように「力が入り過ぎていた」が、大きな欠点が改善され、日本を代表する投手への大きな1歩を踏み出した。

 この有名なエピソードには、ダルビッシュが日本の多くの若手投手から尊敬される理由も凝縮されている。日本人史上最強との呼び声も高い右腕は、たとえ他球団に所属する選手であっても、惜しげもなくアドバイスを送る。その内容はピッチングに限らず、トレーニングや食事の取り方などの健康管理にも及ぶという。田中も、ダルビッシュがレンジャーズに入団した2012年1月に宮崎での自主トレに帯同。メジャー挑戦を目前に控える先輩と生活を共にして、あらゆることを吸収した。

 前述のブログの最後を、ダルビッシュは以下のように締めている。

多分まさおはこれを見て調子乗ると思うけど。それでもまさお! 調子乗るのは俺に勝ってからやぞ!

 今季、2人は同じア・リーグに所属する。「サイ・ヤング賞最有力の男」と「1億5500万ドル(約158億円)の男」が対決する可能性は十分だ。田中はメジャー3年目にして確固たる地位を確立しているダルビッシュの壁を越えられるのか。2人が投げ合えば、日本だけでなく、全米の野球ファンの注目も集まることは間違いない。

【了】

フルカウント編集部●文 text by Full-Count

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