延長15回に及ぶ熱戦の裏側 明徳義塾・馬淵史郎監督が「勝てる」と思った瞬間とは

シーソーゲームは覚悟の上だった

 選抜の球史に残る熱戦となった大会4日目の第3試合。ともに甲子園優勝経験のある高知・明徳義塾高校-智弁和歌山高校。2002年夏の甲子園決勝以来の対戦となった試合は、引き分け再試合が見え始めた延長15回にまでもつれ込んだ。

 決着は15回裏。明徳義塾の1死満塁から、智弁和歌山の2番手、エースナンバーをつけた東妻がワイルドピッチ。接戦の末、明徳義塾が3-2で初戦突破を果たした。

 智弁和歌山の高嶋仁監督は「今度はもう少し後の方で対戦したいね」と早過ぎる対戦を残念がった。一方、明徳義塾の馬淵史郎監督は「高嶋監督の智弁和歌山に勝てたことは、本当にうれしい。強豪相手に延長戦で勝ったというのは明徳のチームの歴史に良い財産」と素直に喜んだ。

 シーソーゲームは覚悟の上だった。馬淵監督は「うちが勝つには僅少差しかないんだから」と明かした。理由は智弁和歌山の先発が背番号1の東妻ではなく、背番号11の斎藤だと読み切っていたからだ。斎藤は左投手。そして、今年の明徳義塾は左投手に弱いというデータがあった。馬淵監督は高嶋監督が左投手をぶつけてくると予測していた。つまり、そう簡単に得点できないということが分かっていたのだ。

 その脳裏に浮かんだのは、ある会食だ。馬淵監督は旧知の仲である高嶋監督と、3月中旬の抽選会前に食事に行ったことを思い出していた。

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