松坂大輔を除く日本人5選手がマイナーへ 招待選手からメジャー切符をつかむのはなぜこれほど困難なのか

田中賢介「一つ一つのプレーが命取りにもなる」

 今季、招待選手としてメジャーキャンプに参加した日本人選手は6人いた。建山義紀(ヤンキース)、大家友和(ブルージェイズ)、川崎宗則(ブルージェイズ)、松坂大輔(メッツ)、和田毅(カブス)、田中賢介(レンジャーズ)だが、3月28日現在、松坂以外の5人はマイナー行きが決定した。松坂の場合だけ少々意味合いが違うので後述するが、この結果は、招待選手として現実に開幕ロースターに生き残ることが、いかに難しいかを端的に表している。

 何が最大の障害になるかと言うと、契約だ。例えば、打率がまったく同じで平均的な守備をする二塁手が2人いたとしよう。1人はメジャー契約で、1人は招待選手だ。強いて言えば、招待選手の方がややスピードがある。この場合、どちらが正二塁手の座を射止めるかと言えば、9割9分、メジャー契約の選手となるだろう。

 マイナー契約の招待選手を開幕ロースターで起用する場合には、メジャー契約を結び直し、メジャーでプレーできる前提となる40人枠に入れなければならない。そのためには、現在40人枠にいる選手を1人マイナーに送るか、戦力外にする必要がある。球団幹部にこの“人事異動”を着手させるには、40人枠にいる選手が持っている以上の実力や才能を見せつけなければならないし、小さなミスも命取りになる。

 レンジャーズのキャンプに参加した田中の場合、一度はマイナー行きを告げられながら、正二塁手プロファーが右肩負傷で長期離脱を余儀なくされたため、招待選手として再びメジャーキャンプに参加する復活劇を演じた。これは非常に希有な例だ。

 心機一転、正二塁手への道を歩み始めたが、開幕まであと4日に迫ったところで、再度マイナー行きを告げられた。実は、その2日前、遊撃→二塁→一塁の併殺プレーを完成させようとした際、二塁ベースカバーに入った田中は、ボールを握り損ねて、一塁への送球を逸らしてしまった。記録上は失策こそつかなかったものの、失策と判断されても仕方ないプレーだった。この試合を踏まえた上で、こんな言葉を漏らしている。

「一つ一つのプレーが命取りにもなるし、いい方向にもつながる、というのが分かったので、気を抜かずやっていきたい」

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