極度の打撃不振に苦しむヤンキース 果たしてイチロー待望論は巻き起こるか?

ヤンキース打線は“死んだまま”

 名門球団の打線には深刻な問題がある。ヤンキースは敵地ヒューストンで格下のアストロズにまさかの開幕2連敗を喫した。この日は黒田博樹投手(39)が6回2失点と試合を作ったが、打線が足を引っ張った。開幕戦に続いて好機で主力がことごとく凡退し、1点を返すのがやっと。地元紙ニューヨーク・ポストは「ヤンキースはアストロズに対して攻撃が“死んだまま”で2連敗を喫した」と貧打を嘆いた。

 しかし、そんな中でもイチロー外野手(40)に出番は訪れなかった。外野手5番手とされている今季の行く末を暗示するかのような起用法だが、このまま行けば「イチロー待望論」が巻き起こっても不思議ではない。それだけ、ヤンキース打線はひどい状態だ。

 有望株の相手先発ジャレッド・コザートの前に、2回まではノーヒット。1点を追いかける3回に2死二塁と得点圏に走者を進めたが、新加入のエルズベリーが呆気なく左飛に打ち取られた。

 さらに、点差が2点に広がった5回には、1死一、二塁でケリー・ジョンソン、エルズベリーが凡退。6回には1死一、三塁としながら、テシェーラが空振り三振、アルフォンソ・ソリアーノが力ない三ゴロと、これまでのキャリアで打点を荒稼ぎしてきた2人がブレーキとなった。

 7回には、無死一、三塁の絶好機でジョンソンに代打。出てきたのは、これがメジャーデビュー戦のヤンガービス・ソラルテだ。ソラルテはジョンソンと同じ内野手のため、その後の守備を考えれば、イチローがここで出ないのは自然なことかもしれない。ただ、日米通算4020本安打を放ってきた安打製造機がベンチにいながら、プロ0安打のルーキーを代打で出さなければいけないところに、今季のヤンキースの危うさが表れている。層の薄さは異常だ。

 イチローはこの2試合をベンチから見守った。ダッグアウトの最前線まで身を乗り出し、試合を観戦する姿には、やはり違和感がある。イチロー自身も、同じく出番がなかった開幕戦の後には「慣れなきゃいけないと思うんですけど、慣れていいものかどうか難しいところだよね」と複雑な心境を明かしている。

 さらに、開幕戦の日に「今日の展開ではなかなか(出番は)ないでしょう」とも話した。この2試合で明らかになったのは、負けゲームでは出番が訪れる可能性が極めて低いということ。首脳陣は勝ちゲームでの守備固めとして起用が最適と考えている。つまり、その打力に対する評価は、やはり厳しいようだ。

 ただ、打撃練習を見ていれば、イチローの打撃がまだまだ超一流であることは確認できる。まずは、試合中にチャンスがほしいところだ。ニューヨーク・ポスト紙によると、カルロス・ベルトランは「我々は状態が上向くように続けていくだけだ」と話しているというが、こんな試合展開が続けば、テコ入れがあってもおかしくない。貧打のヤンキースを救うのは、イチローであってほしいところだ。

【了】

フルカウント編集部●文 text by Full-Count

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