プロが甲子園で見つけた掘り出し物 豊川高校・田中空良投手の魅力とは

スカウトの注目を集めた豊川の田中空良

 38度目の出場となった龍谷大平安高校の優勝で幕を閉じた今年の選抜高校野球大会。延長再試合あり、名将対決あり、初出場校の快進撃あり、2年生ピッチャーの活躍ありと見どころはいくつもあった。ネット裏ではプロ野球12球団のスカウトからメジャーリーグのスカウトまでが選手に熱視線を送っていた。果たして逸材は見つかったのだろうか。

 今年の出場学校の中で1番の注目だったのは横浜高校の浅間大基外野手。「憧れる選手は糸井選手です」とオリックスの強肩強打、俊足のバッターを理想とするだけあって、初戦の八戸学院光星戦では痛烈な一塁線への二塁打を放ったり、センターの守備から強肩を披露するなどした。同じくプロ注目の高濱祐仁内野手とともに初戦敗退し、十分なパフォーマンスを見せられなかったことが残念だ。

 そんな中、ノーマークに近かったにも関わらず、スカウトの注目を集めた選手がいる。初出場の豊川高校(愛知)の田中空良(そら)投手である。177センチ、75キロと体格は大きくはないが、あるスカウトは「プロ向きだね。この後、どう伸びてくるかが楽しみ」と話すなど、今後も密着マークしていくことを示唆した。

 田中は1回戦の日本文理戦(新潟)で145キロをマーク。直球はシュート気味に変化して右打者の内角に向かってえぐって入ることが多い。スライダーを持っていることから、右打者は内角と外角を投げ分けられて、なかなか攻略ができなかった。

 さらにスプリットを持っており、直球を生かしながら、スライダーやスプリットで空振りと凡打を奪っていく投球スタイルである。「140キロの直球だけで押していってもトーナメントは勝ち抜けない。コースをついて投げなければ全国の舞台では通用しない。甲子園で学んでいます」と話しており、そのコメントも何とも賢い。投球テンポも速く、どんどん攻め込んでいく。時に審判からタイムをかけられてしまうこともあったほどだ。

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