プロが甲子園で見つけた掘り出し物 豊川高校・田中空良投手の魅力とは

田中自身が経験した挫折

 田中自身は挫折も経験している。愛知県内では野球で有名な中学生だった。そして森コーチを慕って豊川高校へ入学。1年夏にメンバーに入ったが、2年の新チームではメンバーから外れた。その時の悔しさは忘れないという。

 いつもなら自暴自棄になるところを田中は一生懸命に考えて、何が自分に足りなかったのか、チームの和を乱すようなことはしていないか、冷静に振り返った。今では「外れたことを感謝しています」と言えるくらい重要な時間だった。

 その後、誰よりも1時間早く行動することを心掛け、その1時間を自主練習に使った。早い日は午前3時に田中がトレーニングをしている姿を見た選手もいた。そのような日々の努力が田中を成長させていった。

 そして、今年の甲子園。最後の準決勝は疲労から先発できず、リリーフ登板。履正社に敗れたが、そのマウンド度胸は評価を高めた。その度胸は毎日の経験によって鍛えられていったものだ。選抜を終え、これから最後の夏、強豪校がひしめく愛知県大会に向けて動き出していく。今後さらなる飛躍が期待される高校3年生。こんな中身の詰まった右腕をプロが放っておくはずがない。

【了】

フルカウント編集部●文 text by Full-Count

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