今季のダルビッシュは何が違うのか 数値から浮き彫りになるその進化とは

「ダルビッシュ=奪三振」のイメージは強いが…

 本人が好むと好まざるとに関わらず、メジャーでは「ダルビッシュ=奪三振」のイメージが定着している。昨季は奪三振王(277奪三振)のタイトルに輝いたのだから当然のことだが、同時に「ダルビッシュ=球数が多い」というイメージもついている。

 実際に、昨季投げた球数の総数を見てみると、両リーグを通じて9番目に多い(3451球)。昨季は32試合で先発したが、球数が100球に達しなかったのは5試合だけだった。加えて、1試合平均の登板イニング数が6.5回であることを考慮すると、球数が多いイメージがぬぐいきれないのもうなずける。

 サイ・ヤング賞レースで2位に入った昨季が終わった後、さらに成長するために、自分に何が求められているのか、考えてみたという。そしてたどり着いた答えが「長いイニングを投げること」。今季のレンジャーズ先発陣を見ると、左腕ペレスは2年目と若く、シェパーズとロスは先発に転向したばかり。5番目の枠は、ソーンダースだったり(現在DL入り)、故障明けのルイスだったり、決して安定した布陣とは言えない。当然のことながら、救援陣の起用機会が増えることにもなる。

 そういう意味でも、最も安定した働きの期待できるダルビッシュが、毎試合7回、もしくは8回まで投げられれば、チームにとって大きなプラスになる。1イニングあたりの球数を減らして、長いイニングを投げる。オープン戦から取り組んできたテーマの1つを、まだ2試合ではあるが、しっかりと実践できている。

 この2試合のカギとなっているのが、フォーシームの制球だ。いわゆる「直球」と呼ばれるフォーシームを高低をつけながら、ホームベースの両端にしっかり投げ込むことで、打者は狙い球が絞りづらくなり、スライダーや速めのカーブがより効果を発揮することになる。軸となる球が精度を増したことで、配球の組み立てがシンプルながら引き締まった印象だ。

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