70連敗の東大が模範とすべき千葉ロッテの姿勢

勝利を待ち続けたロッテファン

 悲劇はそこで終わらなかった。7月7日。16連敗で迎えた敵地でのオリックス戦。今日こそはとエースの黒木が今度は先発としてマウンドへ。持ち前の気迫のこもった好投を続け、9回ツーアウトまで3対1と2点のリードを守った。走者は一塁。外国人打者・プリアムに対して、追い込んで、あと1球と迫っていた。連敗ストップまであと1球だった。しかし……。

 打者がバットを振り抜いた打球は、無情にもグリーンスタジアム神戸の左翼席へ飛び込む同点の2ラン。野球の神様はまたもロッテを、黒木を見放した。黒木はマウンドで崩れ落ちた。「どうして……」。熱い男、黒木は一人で歩くことすらままならなかった。七夕の夜の悲劇。黒木は申し訳ない気持ちでいっぱいだった。

 しかし、連敗ストップを待ち望んだファンたちたちは絶句したが、すぐに応援を始めた。

 当時、ロッテのファンは負けても、負けても「俺たちがついている」と横断幕をかかげ、毎試合、毎試合、声援を送っていた。次第に「苦しい時こそ、自分がマリーンズを応援しないといけない」という気持ちになり、微増ながら日に日にスタジアムの観客動員も伸びていた。

 チームを率いた近藤昭仁監督は「せめてもの救いはファンのみなさんが暴動もせず、温かくチーム、選手を見守ってくれたこと」と話していたこともあった。18連敗の日本記録。普通なら嫌にになって応援や観戦をやめてもおかしくはない。それでもロッテファンは勝利を待ち続けた。

 7月9日のオリックス戦に勝利し、18連敗でようやく不名誉な記録は止まった。勝利した選手たちはベンチを飛び出して、スタンドのファンに向けて頭を深々と下げて、感謝した。応援してくれたファンがいなければ、勝利はなかった。

RECOMMEND

KEYWORD

CATEGORY