「同志」であり「遠い人」 イチローや田中将大が語る松坂大輔への特別な思い

田中にとって特別な存在であり続ける松坂

 一方で、田中も松坂は特別な存在として尊敬している。駒大苫小牧高校時代は自身も甲子園の主役となったが、幼い頃に、横浜高のエースとして数々の伝説を残した松坂を見ていた。あまりにも特別な存在だった。2009年のWBCでチームメートにはなったものの、絶対的なエースとプロ入り3年目の右腕の間には、まだ大きな差があった。

「日本で一緒にやる機会がなかったので、遠い存在の人でした。自分がプロに入って同じ時期に戦った人がメジャーに来られてというのは、やっぱりどこかで近い部分は感じましたけど、松坂さんはちょうど入れ替わりだったので。松坂さんの高校時代から、ずっと僕が見る目というのは変わらないですよね。遠い人です」

 田中は昨年、日本で24勝無敗という伝説的な成績を残し、超大型契約でヤンキースに入団した。その実績を見て、今や松坂よりも上だという人もいるかもしれない。ただ、本人は全くそんなことは思っていない。偉大な先輩の背中は、まだ見えていないようだ。

 イチローや田中のような選手をも引き付ける松坂は、いまだ底知れぬ魅力を秘める投手であり続けている。まだ33歳であり、その完全復活を待ち望むファンや関係者も、数え切れないほどいるだろう。「同志」や「後輩」からの熱い言葉は、松坂の胸にどのように響くのか。いずれにせよ、この日の“今季初勝利”が復活への呼び水になることを多くの人が願っている。

【了】

フルカウント編集部●文 text by Full-Count

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