好投の黒田博樹にスタンドから大拍手 白星は消えるも「納得できるピッチングはできた」

6回2/3を投げて2安打1失点と粘りの投球

 ヤンキースの黒田博樹投手(39)がアスレチックス戦に先発し、6回2/3を投げて2安打1失点と粘りの投球を見せた。1点のリードを保ち、勝利投手の権利を持って降板したが、チームは8回に同点に追いつかれて白星はならなかった。「自分の中では納得できるピッチングはでき、ゲームも作れたかと思います」。ピッチング自体には納得しながらも、ヤンキースが延長10回に3点を奪われて競り負けたとあって、悔しそうな表情を浮かべた。

 雨のため、試合は1時間12分遅れでプレイボール。黒田は待たされる形となったが、立ち上がりからコントロールは安定していた。1回はスプッリトもさえ、今季15本塁打の主砲ジョシュ・ドナルドソンから空振り三振を奪うなど、上々の滑り出しだった。

 ヤンキースはその裏、ブレッド・ガードナーとジャコビー・エルズベリーのヒットなどでチャンスを作ると、右手首を痛めながらも出場しているマーク・テシェイラがライト前にしぶとく落とすタイムリーを放ち、先取点を奪取。黒田を援護した。

 好投を続けていた黒田だったが、5回表には4番のブランドン・モスにホームランを浴び、同点とされてしまう。「ゲームの展開上、仕方がないホームランだったと思う」。フルカウントから、最後はシンカーが甘く入った。この回の先頭打者だったモスを四球で歩かすことはしたくなかった。攻めの投球の結果だった。

 それでも、6回にまたもテシェイラが黒田を援護する。2死からソロホームランが飛び出し、勝ち越しに成功した。黒田は7回、危なげなくツーアウトを取ると、前の打席でホームランを浴びているモスを打席に迎えたところで交代を告げられた。

 ヤンキースは8回に2番手のベタンセスが同点に追いつかれ、黒田の白星は消えた。試合は延長戦へ入り、10回表には救援陣がアスレチックスに3得点を奪われて敗戦。黒田は「ピッチャーが思い描くような試合展開になることは難しい。我慢しながら続けていきたいと思う」と振り返った。

 力投は報われなかったが、先発としての役割を十分に果たし、降板の際にはヤンキースタジアムから大きな拍手が送られた。首脳陣、ファン、チームメートから絶大な信頼を置かれるベテラン右腕は、黙々と自分の仕事をこなしていく。

【了】

フルカウント編集部●文 text by Full-Count

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