混戦ア・リーグ東地区 首位をいくブルージェイズで奮闘する川崎宗則の明るさに期待

川崎はキャラクターを前面に出して奮闘を続けている

 さらに川崎は最後に見せ場を作った。昇格したばかりの男は結果を出さないといけない。2点ビハインドの9回2アウト。相手のマウンドにはクローザーのロバートソンが上がっていた。川崎が倒れれば、そこで試合が終わる。そんな状況で、川崎はレフトへ三塁打を放ったのだった。

「最後、盛り上がっていたので、KY(空気が読めない)なことをしようと思いました。俺が塁に出てこの盛り上がりをおさめてやろう。やってやると思っていた」

 打球はレフトのガードナーの前で落ち、それを相手が後逸する間に、走るスピードを緩めずに三塁まで到達した。

 試合には敗れ、田中に11勝目が刻まれた試合となったが、川崎は対戦を楽しんだ。その際、打席での様子をこう振り返っている。

「日本語が通じるんで『行くぞ!マー君』と言ったら(田中も)『よっしゃ』と言っていた。僕も気合が入って、言ったんですけど、三振2つもして悔しいです。ビール飲んで焼酎飲んで、スカッと寝て、また明日です」

 ブルージェイズは強力打線でヤンキースや昨季王者のレッドソックスよりも上をいき、地区首位に立っている。その後も川崎はコメントにあるような明るいキャラクターを前面に出して、スタメン出場し、奮闘を続けている。もちろん、明るさや性格だけで野球ができるわけではない。だが、選手には役割がある。スター選手がそろうブルージェイズの成績が落ち込んだ時に、川崎の明るさがチームを救うことも十分にあり得る。
 
 メジャーリーグではグラウンド外での雰囲気作りひとつで成績が変わる。同地区ではヤンキースのイチロー、黒田、田中、さらにはレッドソックスの上原、田澤が頂点を目指し、しのぎを削っている。その中で、もしかしたら、プレーオフで躍動しているア・リーグ東地区の日本人選手は川崎か――。そんな期待を抱いて、リーグの戦況を見守るのも面白いかもしれない。

【了】

フルカウント編集部●文 text by Full-Count

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