過去10年でリーグ優勝6度&日本一3度 原辰徳監督が見せる「昇格、即スタメン」の手腕とリーダーシップ

1軍に上がってきた選手をすぐに使う

 巨人を率いて通算11シーズン目。過去10年でリーグ優勝6度、日本一3度という成績を収めている原辰徳監督は紛れもなく名将だろう。リーグ3連覇がかかる今季は開幕直後に勢いよく勝ち星を積み重ねた広島に後れを取ったものの、その後は交流戦を制するなどして、現在、リーグ首位を独走している。

 そんな原監督の指揮官としての強みはどこにあるのだろうか。様々な見方がある中で、野球評論家の松本匡史氏は以前巨人軍のファームの監督を経験した視点から、その決断力と起用法、さらにはリーダーシップを高く評価している。

「私から見ると選手の使い方が上手いですね。あそこまでいろんな選手を使いこなせる監督はこれまであまりいなかったと思います。一番良いところは1軍に上がってきた選手をすぐ試合で使うということ。第一次政権の時にまずそれをやった。僕がファームの監督をやっていた時、選手を1軍に上げても、1試合も使われずに戻ってくる選手が何人もいたんですよ。でも、その選手の状態がいいから上げるわけであって、その時に使ってもらえないと意味がない。その意味では原監督はしっかり使う。そこはすごくいい部分だと思います」

 松本氏が指摘する「昇格、即スタメン」の手腕。今年で言えば、例えば中井大介だ。左膝の負傷もあってキャンプは2軍スタート。その後、右肘を痛めて開幕1軍を逃した。しかし、2軍で34試合に出場し打率3割1分4厘、7本塁打、20打点と結果を残して、5月23日のロッテ戦から1軍に昇格。すると、原監督は直後の同25日の日本ハム戦で1番左翼としてスタメンに抜擢した。

 中井はその期待にきっちり応えた。初回にレフト前ヒットを放ち、初打席初安打をマーク。翌日の日本ハム戦では同点で迎えた9回1アウト2塁で左翼へ適時2塁打を放った。自身初のサヨナラ打だった。

「たとえ、その選手を使ってダメだったら落とせるじゃないですか。1軍に上がっても使われず、ただベンチにいるだけ、声を出しているだけでは意味がない。使わないで落とすということもある。そういう選手が多い中で、最初のころから原監督は選手をしっかり使っていて、すごくいいなと感じていました」

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