トレード市場で渦巻いた各球団の思惑 世紀の対決となる可能性も出てきた「アスレチックスvsタイガース」と来季の優勝争いを見据える昨季王者

サイ・ヤング賞投手を3人も揃えたタイガース

 そして、アスレチックスに一人勝ちはさせまいと動いたのが、中地区首位のタイガースだ。こちらもまた、トレード市場の注目株だった左腕プライスを、マリナーズを絡めた三角トレードでレイズから獲得。タイガースの中堅だったジャクソンがマリナーズへ向かい、不動のエースを手放したレイズは、タイガースから左腕スマイリー、マリナーズから内野手フランクリンを獲得した。

 タイガースはこのトレードに先駆けて、レンジャーズから守護神だったソリアを手に入れ、ここ数年の課題だったブルペン強化に努めている。本当ならば、もう一人救援投手がほしいところ。もしかしたら、8月31日までに何らかの動きがあるかもしれない。

 アスレチックスが鉄壁な先発ローテを築いたと言ったが、プライスが加わったことでタイガースの先発ローテには3人のサイ・ヤング賞受賞者が名を連ねることになった。2011年バーランダー、2012年プライス、そして2013年シャーザーだ。すでに12勝を挙げているポーセロ、サンチェスが加わるローテーション。この重厚感はなかなかのものだ。

「今季が勝負時」と睨んだアスレチックスのビーンGM同様、タイガースのドンブロスキーGMも「今年こそは」という思いが強い。近年はプレーオフ常連チームとなっているが、どうしてもワールドシリーズ優勝を果たせずにいる。

 主力選手、特に野手の年齢を考えた場合、カブレラ(31歳)、V・マルチネス(36歳)、ハンター(39歳)、キンズラー(32歳)という状況。チームの状態は成熟期後期にあり、今季を逃したらチーム力が低下する可能性が考えられる。つまり、最後の一押しをするなら今季しかない。

 最近2季連続でア・リーグ西地区優勝果たしているアスレチックスだが、両年ともにプレーオフはタイガースに敗れた。アスレチックスがサマージャとハメルをいち早く獲得した際、バーランダーが「自分たち(タイガース)との対戦を意識した動きだ」と発言していたが、今回の両軍の動きを見る限り、互いに互いを意識していることは間違いないだろう。米メディアやファンの間では「今季の実質的なワールドシリーズは、タイガースvsアスレチックスだ」という声も聞こえてくるほど。世紀の対決となる可能性は十分だ。

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