怒とうの勢いで首位を独走 ソフトバンクを支える「9人ローテ制」の強みとは

「9人ローテ制」のメリットとは

 この「9人ローテ制」には、いくつかのメリットがある。

 まずは、前述したように、相手との相性を考え、先発投手を送り込める。現に、8月6日の西武戦(西武D)で今季初先発初勝利をあげた武田は、過去4戦3勝、不敗と得意にしていた西武にぶつけた。

 そして、この武田は右肩痛、大隣は国指定の難病「黄色靭帯骨化症」から復活を遂げたばかり。郭泰源投手コーチが「何かあったら、困るからね」と言うように、登板間隔を空け、十分な休養を与えることで、再発防止にもつなげている。

 編成上の利点もある。28人の出場選手登録枠で、投手に割く枠は少なくて11人、多くても13人といったところ。リリーフ陣に7人程度を充てるのがオーソドックスな形だ。ところがソフトバンクは、常時登録されている先発はスタンリッジ、中田、摂津の3人だけ。先発は、最多でも4人が登録されるだけで済むため、リリーフ陣に、常に8枠を使える。

 現状で江尻、森福、森、五十嵐、柳瀬、嘉弥真、サファテ、金無英が顔をそろえる。序盤でビハインドとなれば、12球団トップの救援防御率(1・97)を誇るリリーフ陣への早め早めの継投で、点差を広げさせない策をとれる。登板過多にもなりにくく、投手陣に負担がかかりやすい夏場にも効果的だろう。

 前評判通り、強力打線は健在のソフトバンク。本多、松田、吉村をケガで欠いても、明石、金子らが穴を埋めている。不安だった先発投手陣も、「9人ローテ制」がこのまま機能すれば、他球団が付け入る隙は、見当たらなくなる。ペナントレースは、残り42試合。秋山ホークスの覇権奪還は、確実に近づいている。

【了】

フルカウント編集部●文 text by Full-Count

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