最下位なのに強烈な攻撃力 燕打線を牽引する驚異のトップバッター山田哲人のブレイクの理由

多くの選手が打撃成績を伸ばしているヤクルト打線

 もともと山田は、選球眼の良い選手だ。昨年も396打席で39の四球を選び、.354と高い出塁率をマークしている。ただ昨年は、350打数で3本塁打であり、長打に特徴のある選手ではなかった。飯田氏は続ける。

「正直、ここまで打つ、これだけ長打が出るようになるとは思いませんでした。山田は足も速いですし、どちらかと言えば、もう少し小技を生かした選手としてプロの道を進んだ方が、成長するのに近道かなとは個人的に思っていましたね。ただ、ポテンシャルとして身体能力は非常に高いですし、守備をもう少し鍛えれば、三拍子揃った素晴らしい選手になります」

 今季のヤクルトは、山田だけでなく多くの選手が打撃成績を伸ばしている。その理由はどこにあるのだろうか。

「全体的に、無茶なスイングをしなくなってきていますね。真中コーチ、杉村コーチの指導が、良い効果を出しているのではないでしょうか。真中コーチは現役時代に様々な打順を経験した選手ですし、打順ごとの心構えや、カウント毎の対応など、細かな指導を行っていると思います。

 中でも特徴的なのが畠山です。彼はもともとアベレージヒッターで、たくさんのホームランを打つようなバッターではありません。ただ、長打を期待されるばかりに、バッティングを崩すことが多かった。今までは強振するシーンを良く見られたと思いますが、今年はしっかり考えながら打席に立っていますし、打点を稼ごうという意識が強く感じられます。

 打点を稼ごうと思えば簡単に三振もできませんし、追い込まれてからのバッティングは明らかに変わっています(畠山の得点圏打率は14日現在で.451)。畠山にも“振りすぎだ”とはずっと話していたんですが、先日会った時に“やっと飯田さんの言っていたことが分かりました”と話していました(笑)」

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