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準優勝の三重はなぜ強かったのか 選手たちを変えた5つのポイント

大観衆を味方につけ、王者・大阪桐蔭を最後まで苦しめた古豪・三重高校。近年はほぼ毎年、初戦で消えてきた三重県勢が大躍進。なぜ三重が強かったのか。あらゆる観点からその要因を探ってみたい。

阪神甲子園

選手に自信を植え付けた中村監督の言葉

 大観衆を味方につけ、王者・大阪桐蔭を最後まで苦しめた古豪・三重高校。大阪桐蔭のエース・福島孝輔投手がお立ち台で「相手が強くて、本当に苦しかった」と涙ながらに話したのを見ると、三重の打線、守備、チーム力が高かったことがうかがえる。

 近年はほぼ毎年、初戦で消えてきた三重県勢が大躍進。なぜ三重が強かったのか。あらゆる観点からその要因を探ってみたい。

【1】選球眼の良さと思い切りのいい攻撃面

 打力そのものは三重以上に敦賀気比や大阪桐蔭の方が上だった。彼らが日ごろから訓練していたのは「選球眼」。中村好治監督が就任した4月の時点で「バッティングの力はあった」という。ただ足りなかったのは選球眼。そのため、フリーバッティングでは、生徒たちに審判もやらせた。「ストライク!」「ボール!」と練習で声が飛んだ。あまり他の高校では見られない方法。審判をつけることで練習の時からボール球を打たない訓練がされていた。

【2】守備の強化は守る位置と自主練習にあった

 話は2012年の三重秋季大会までさかのぼる。優勝した3年生がまだ1年生だった秋のこと。準々決勝で夏に続いて、いなべ総合高校に0-7でコールド負け。守備からほころびがでて、実力以上に点差が離れた。

 このころ学園側は、三重中京大の監督をしていた中村監督のコーチ就任に動き出していた。中村監督は三重中京大が閉校となったため、翌年の2013年にコーチに就任。ショートの宇都宮東真に当時、「もっと後ろに守ってみろ」と指示を出した。宇都宮は自分で「うまくなかった」と話すほど守備に自信がなかった選手で、肩が弱いために前で守っていたのだが、バウンドを合わせるのが下手だったため、ファンブルすることが多かった。中村コーチはそれを見抜いた上でアドバイスを出したのだった。それをきっかけに宇都宮の守備力は向上し、今夏もショートで何度も好プレーを見せた。

 また、「監督には、直観を大事にしろ。守備位置は打者によって自分で感じたところを守れと言われた」と話す二塁手の佐田泰輝はバッターの特徴を見ながら、一、二塁間を狭めたり、二塁ベースに寄ったりした。「守る位置の判断ミスで怒られることはなかったです。自分で考えて守った結果ならいい、と」と言う。甲子園で好守が光った佐田も自分に自信を持てない選手だったが、「監督のおかげでなかった自信が出てきたのが、大きかったです」。そんなふうに守備位置の指示ひとつで選手は成長していった。

 彼らだけでなく、ほかの選手に対しても監督は明確な課題を示した。そのため、全体練習の後の自主練習ではほとんどの選手たちが守備練習を行っていた。彼らの守備は一気に上達し、エース・今井重太朗も決勝戦まで打たせてアウトを取るピッチングができたのだった。

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