田中将大復帰までの軌跡 75日ぶりのメジャーマウンドへ

一時は投球練習を回避「もう少し強化が必要だと自分の中で感じた」

tanaka
田中将大復帰までの軌跡 75日ぶりのメジャーマウンドへ

 フリー打撃に初登板したのは8月23日。ウィーラー、ライアンと控えの味方野手を相手に35球を投げ、宝刀のスプリットで空振りを奪う場面もあった。もっとも、内容について満足感を示すということはなく「今日は打者相手に投げられたことが1番よかった」と話している。

 28日には実戦形式の練習に登板も、49球を投げてボールが19球と田中らしくない投球内容。本人も不満を示し、翌29日には右腕の張りを訴えた。

 9月中旬と見られていたメジャー復帰が遅れることに。「もう少し強化が必要だと自分の中で感じた」。ブルペンでの本格的な投球練習を回避し、キャッチボールを継続しながら、筋力強化を中心にトレーニングを行っていくことが決定。一夜明けた30日にはチームを離れ、トレーニング施設が充実しているニューヨークに戻った。

 その後は順調にトレーニングを行い、9月6日にブルペンでの投球練習を再開。34球を投げ込み、「状態は数段上がっている」とトレーニングの成果に手応えを示す。8日には錦織圭が出場したテニスの全米オープン決勝を観戦し、元気な姿を見せた。

 9日には実戦形式の打撃練習に登板し「投げている感触が試合レベルになってきた」と話す。

 復帰前最後の調整登板は15日。キャンプ地のフロリダ州タンパでマイナーリーガー相手に実戦形式の練習に登板し、5回を投げて6安打無失点4奪三振無四球で、最速は92マイル(約148キロ)を計測した。

 視察したジラルディ監督は地元メディアに対して「次のステップがメジャー復帰? 大いにあり得る」と話し、ロスチャイルド投手コーチも「明日痛みがなければ、今週末にメジャーに戻れる」と明かした。

 一連の流れを見ると、田中が決してチームの方針に従うだけでなく、自分でも考えながらリハビリを進めてきたことが分かる。メジャー復帰のマウンドに納得した形で上がれることは間違いない。負傷まで12勝4敗、防御率2・51と圧倒的な成績を残してきた新人右腕は、万全に近い姿で戻ってこられそうだ。

【了】

フルカウント編集部●文 text by Full-Count

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