プレーオフ進出を争うマリナーズ・マクレンドン監督が嘆き節? 9月のロースター40人枠は多すぎと主張

プレーオフ争いと若手のトライアウトを同じ土俵にのせてほしくない

 それというのも、最大15人も新しい戦力が加わると8月までとはまったく別のチームになってしまうことがある。選手が心身ともに疲れがたまる時期だけに、個々の負担を適度に減らせるよう余剰戦力を抱えることは大事だが、シーズンを通じて戦い続けたチームの色が変わらない程度に抑えるべきだ、というのがマクレンドン監督の主張だ。これはまさに一理ある意見なのだが、裏を返せばプレーオフを争う上位チームの嘆き節でもある。

 チームの命運が懸かる9月に、上位チームは1つでも多く勝ち星を延ばそうと、4月から戦い続けたベストメンバーで必勝態勢を敷く。上位チームのベストメンバーであれば、確かにメジャー屈指の名選手が多い。

 だが、そういう選手であっても、初対戦ともなれば条件は一緒。むしろ、勝利のためにミスが許されない状況の中でプレーする選手と、失敗してもいいから全力でプレーできる選手とでは、後者の方がいい結果を生み出すことが多い。ペナントレースを必死で戦うチームと、若手のトライアウトを行うチームを、一緒の土俵の上にのせないでくれ、というのが本音だ。

 マリナーズを率いるのは今季が1年目のマクレンドン監督だが、2006~2013年はタイガースの打撃コーチ(初年度はブルペンコーチ)として常にペナントレースを争う立場にあった。つまり、年間を通じてチームの色を大きく変えない方がいいというのは、今季初めて感じる違和感ではなく、これまでの蓄積を経た上での意見なのだろう。

 提言の1つとして、後日メジャーリーグと話をしてみるというマクレンドン監督だが、その発言力を増すためにも、何とかしてプレーオフ進出を果たしたいところだ。タイガース、ロイヤルズ、アスレチックスとの厳しいにらみ合いが続く中、ミスを少なく勝ち星を重ねられるのか。手腕の見せどころだ。

【了】

佐藤直子●文 text by Naoko Sato

群馬県出身。横浜国立大学教育学部卒業後、編集プロダクション勤務を経て、2004年にフリーとなり渡米。以来、メジャーリーグを中心に取材活動を続ける。2006年から日刊スポーツ通信員。その他、趣味がこうじてプロレス関連の翻訳にも携わる。翻訳書に「リック・フレアー自伝 トゥー・ビー・ザ・マン」、「ストーンコールド・トゥルース」(ともにエンターブレイン)などがある。

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