打者転向からトリプルスリーを狙える存在へ 糸井嘉男にかかる“史上9人目”への期待

21日現在で打率.324、18本塁打、77打点、29盗塁

 大谷翔平の活躍で野手と投手を兼任する“二刀流”が俄然注目を集めているが、古くは川上哲治や西沢通夫、関根潤三、そして先日大谷の10勝・10本塁打で話題となった、MLBのベーブ・ルースもそうした選手の代表格だ。

 また、アマチュア時代に投手を経験してプロ入り後に野手へ転向した例については、枚挙に暇がない。王貞治、秋山幸二、イチロー、松井稼頭央、金城龍彦、中田翔、堂林翔太など、幾多の名選手が同様なルートを通って活躍している。

 プロ野球通算最多の400勝を挙げて38本の本塁打を記録した金田正一や、通算2位の350勝を挙げて33本塁打を放った米田哲也の例を挙げるまでもなく、投手でも非凡な打撃センスを持った選手は数多くいる。

 しかし、プロ入り後に投手で複数年在籍し、その後打者へ転向して長く活躍できた選手はそれほど多くない。近年では、愛甲猛、仁村徹、石井琢朗、吉岡雄二、福浦和也、そして今年その打棒が開花したヤクルトの雄平らが、代表的な例と言えるだろうか。

 そして、その代表格といえるのがオリックス・バファローズの糸井嘉男だ。

 糸井は2003年のドラフトで日本ハムに自由獲得枠で指名され、投手として入団した。2年間投手として投げ続けたものの、1軍での登板機会を得ることができず2年目のオフに打者へ転身。2008年から徐々に外野手として出場機会を得るようになると、2009年には打撃が開花し、打率.306を記録。本塁打も15本、24盗塁と抜群の成績を残した。

 投手出身ゆえに肩が強く、俊足を生かした守備範囲の広さも相まって、近年まれに見る“5ツールプレーヤー”として一気に注目が集まった。2008年から5年連続で打率3割をクリアし、オリックスへ移籍した昨年はキャリアハイとなる17本塁打、33盗塁を記録するなど、さらなる真価を見せている。

 今季は膝の痛みに苦しめられているが、21日現在で打率.324、18本塁打、77打点、29盗塁と、いずれも昨年を上回るペースで打撃成績を残している。

 その糸井について、スポーツコメンテーターの飯田哲也氏に解説してもらった。

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