地元メディアの反発を招いたダルビッシュのある発言 騒動の裏にあった“切れ者GM”の判断ミス

ダルビッシュは「一流投手だが大事な時に頼れない」イメージを払拭できるか

 結局、ダニエルズGMが「DL入りさせたことはチームの判断。来年以降のことを考えてみても、チームとして無理をさせるつもりはない」とダルビッシュ擁護に乗りだし、日々報道陣との質疑応答に応じなければならないワシントン監督は、ダルビッシュの件に関しては多くを語らなくなった。それに合わせるかのように、ダルビッシュ本人も“雲隠れ”することが増えたというわけだ。

 今回の騒動の責任は、全員の足並みを揃えられなかったダニエルズGMにある。

 そもそも、MRIを受けて医師の診断が出る前にDL入りを決めてしまったのは順番違いだし、関係者の見解を早々に統一しきれなかったことが痛かった。この当時、レンジャーズでGM補佐だったプレラー氏が、パドレスの新GMに就任したためレンジャーズを離れ、ダニエルズGMが忙殺されていた事実はある。とはいえ、切れ者のダニエルズGMには珍しい判断ミスだったと言うしかない。

 怪我は起きるときには起きるもので、防ぎようがないものもあるが、この一件に加え、首痛でシーズン開幕戦の先発を回避したこともあり、今季は「一流投手だが大事な時に頼れない」イメージが付いてしまった。

 シーズン終了まで多くを語らずに黙々とトレーニングを続けたダルビッシュは、来季は健康体でキャンプインを迎えるだけではなく、今季後半にDL入りしたことが賢明な判断だったことを証明するようなパフォーマンスを見せなければならない。さらには、チームに必要とされる場面で頼りになる投手であり、人物であることを証明しなければならないだろう。不本意だった2014年をバネにどんな成長を遂げるのか。2015年のダルビッシュは、要注目だ。

【了】

佐藤直子●文 text by Naoko Sato

群馬県出身。横浜国立大学教育学部卒業後、編集プロダクション勤務を経て、2004年にフリーとなり渡米。以来、メジャーリーグを中心に取材活動を続ける。2006年から日刊スポーツ通信員。その他、趣味がこうじてプロレス関連の翻訳にも携わる。翻訳書に「リック・フレアー自伝 トゥー・ビー・ザ・マン」、「ストーンコールド・トゥルース」(ともにエンターブレイン)などがある。

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