プロ2年目で最速162キロを投じる大谷翔平の凄さ 専門家からは「近いうちにダルビッシュと肩を並べる」との声も

「大谷のストレートはまだまだ成長の余地がある」

 藤川が阪神在籍時、女房役を務めていた矢野燿大氏は「球児のストレートは変化球ですから」という名言を残している。一般的なストレートとは異なり、浮き上がるかのような印象を打者に与えていたからだろう。

 飯田氏は、大谷のストレートについてもこう語っている。

「大谷は身長がありますし、ストレートを低めに投げ込むことが多いので、角度が付きます。打者からすると、どれだけ速くても低めにくると、当てることはできると思います。ただそれでも、これだけの球速を当たり前に投げられるのが、どれほど凄いことか。

 大谷の投球に我々もファンも少し慣れてきた部分はあると思いますが、彼はまだ高卒2年目の選手なんですから」

 大谷は今季、投手として24試合に登板し、11勝4敗、防御率2.61と先発としてチームトップの成績を残した。155回1/3を投げ規定投球回にも達し、奪三振は179。そして打者としても、打率.274、10本塁打、31打点と、二刀流として圧巻の数字が並ぶ。飯田氏は続ける。

「球速は圧倒的ですし、変化球もどんどん良くなってきている。制球力も、かなり改善されてきました。今後も研鑽を続けていけば、近いうちにダルビッシュと肩を並べるような存在になると思います。そしてストレートも、まだまだ成長の余地があります」

 観る者の度肝を抜き、プロ野球界の一般常識をことごとく突き崩してきた大谷翔平。彼がもし、藤川球児のようなストレートの球質を手に入れたとしたら……。そんな空想も、大谷であれば可能になってしまうのではないかと思わせてしまう。そして飯田氏は、最後にこう付け加えた。

「繰り返しますがまだ2年目ですし、今後、日本を背負って立つ投手になるのは間違いありません。紛れもない“日本の宝”ですから、上手く育っていって欲しいですね」

【了】

飯田哲也プロフィール

スポーツコメンテーター。1968年東京都出身。1987年に捕手としてヤクルトスワローズに入団、主に外野手としてヤクルトの1番バッターを長く務めた。2005年からは2年間楽天イーグルスに在籍。2006年に現役を引退すると、古巣ヤクルトで2013年まで守備・走塁コーチを務めた。
飯田哲也オフィシャルブログ

フルカウント編集部●文 text by Full-Count

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