大谷翔平のストレートはどこまで進化するのか 投手コーチも舌を巻く、その底知れぬ可能性

黒木投手コーチ「球質は確実に上がっている」

 さらにもう1つ。この楽天戦で周囲を驚愕させた球があった。2回2死走者なしで打席に8番の藤田を迎えた場面。2ストライクからの5球目は真ん中低めへの快速球。スピードは151キロを計測した。だが、その白球がベース手前でスっと落ちた。フォークボール。このスピードで落ちる。まさに魔球。ボール球となったが、誰もが目を疑った。

 その魂のこもった投球スタイルで現役時代、ファンを沸かせてきた日本ハムの黒木投手コーチはバットに当てられる大谷の直球に関して「ボールの質ですよね。すべての球種(のスピード)がある程度、速いというのもありますよね。でも、その球質は確実に上がっています。まだプロ2年目ですよ。十分すぎるでしょ。先がある選手ですから」。そう解説する。

 今は出そうと思えばいつでも出せる160キロ。そこからさらに1ランク上へ。空振りを取ろうと思ったら、いつでも取れる160キロへ――。

 投手としてのピークはまだまだ先にある。だが、その成長スピードは驚異的。時には休養指令が出るほど練習の虫でもある。日本球界のエース。歴代最高投手の称号を手にする日は案外、近いのかもしれない。

【了】

J・T●文 text by J・T

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