まさかのコールド負け 選抜出場絶望となった強豪校が目指す道

2008年秋にもコールド負けを経験

 両校に力の差があるわけではなかった。日大三にはプロが注目する選手もいたほどだ。監督は「冷静な判断ができなかった。自分たちが強くなっていくしかない。この負けがいい薬になるかどうかですね」と選手たちの巻き返しに期待するしかなかった。公式戦では普段のプレーができなくなることもある。涙を流すほどの悔しい思いは選手たちも忘れない。2度とこの悔しさを味わうことがないように、選手たちは死ぬ気でこの冬、練習に励んでいくだろう。

 敗戦から強くなった先輩たちの例がある。東・西東京の中でも屈指の強豪である日大三が、東京内でコールド負けするケースは少ないが、過去には2008年の秋季大会で日大鶴ケ丘高校に5-14と、同じように1回戦で敗れている。このときの捕手は現在ロッテでプレーする吉田裕太選手。プロに進むような力のある選手がいながら、今年と同じように序盤から大量失点し、打線が追いつけず春の甲子園の夢は途絶えた。

 だが、甲子園出場の最後のチャンスとなった翌年夏、見事に西東京大会を制して、甲子園出場を果たしている。決勝では日大二を相手に19ー2で大勝。小倉監督は1つの大敗がチームをどれだけ強くするのかを知っている監督だ。ひと冬を越え、このチームが生まれ変わることは十分、考えられる。

 2014年夏の甲子園を制した大阪桐蔭も、全国屈指の強豪。そんな学校も昨秋は履正社高校にコールド負けし、選抜出場を逃している。その負けからチームは強くなっていった。今回の日大三は春の甲子園にはもう届かないが、このままでは終わらない。6年前の先輩のように、今夏の覇者のように、コールド負けの悔しさが大きい分、成長の幅も大きいかもしれない。夏に大暴れしてくることを期待したい。

【了】

フルカウント編集部●文 text by Full-Count

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