野球への変わらぬ熱量が伝わってくる2014年シーズンのイチロー語録

「出てるだけでカウントされるものに僕は価値を見いだせない」

 ヤンキースからFAとなったイチロー外野手は、今年も数々の名言を残した。5番手の外野手としてスタートしながら、夏前には一時的に自らの力でレギュラーを奪取するなど、143試合に出場して打率2割8分4厘をマーク。シーズン102安打は自己最少だったものの、華麗な守備でも存在感を見せた。浮き沈みのある1年を、イチローの言葉を通して振り返りたい。

 今季、ヤンキースでは3年目を迎えた黒田博樹投手に加え、鳴り物入りで田中将大投手が入団。また、キャンプには招待選手として建山義紀投手、さらに臨時コーチとしOBの松井秀喜氏が参加した。実に5人の日本人が集合したことになる。

 キャンプ初日の2月20日、そんな状況をイチローは独特の言葉で表現した。

「日本人祭りという感じで、なかなかきしょい(気色悪い)ですね。(松井氏を)『コーチ』って呼ばなきゃいけないでしょ。ぐっちゃぐちゃですね。おもろいけど」

 そして、控え外野手として迎えた自らの立場についても言及。プライドをにじませ、レギュラー奪取を誓った。

「マリナーズの時だって勝負していないことはなかった。(シーズン)262(安打)を打った後でさえ、そうだった」

 開幕を翌日に控えた3月31日、大方の予想通りスタメンに名を連ねないことが決まると、再び並々ならぬ決意を口にしている。

「だからといって僕が毎日やっていくことに変わりはない。ゲームに対しての(気持ち)、というのは何ら変わりがないわけで、それをとにかく重ねていく。それをどこかで切らせてしまえば、本当に切れてしまう可能性があるから、そこは大事にしたいし、それをしない僕は僕ではないですから。毎年、チャレンジと言ってますけれども、確かにスタートの時点ではそういうことが言えると思いますよ」

 そして迎えた4月1日の敵地でのアストロズ戦は、最後まで出番なし。これまではグラウンドで戦っていた開幕戦を、イチローは実際にどんな気持ちで見ていたのか。

「めっさくやすぃー(悔しい)です。『すぃー』が『しー』に変わると、マジになるからね(笑)。じゃないと重くないですか? これ(試合に出ないこと)は慣れなきゃいけないと思うんですけど、慣れていいものかどうか難しいところだよね」

 序盤は試合終盤の守備固めや代走など、限定的な出場が続いた。そんな中で、日本時代から重ねてきた出場試合数が3017試合となり、野村克也氏が持つ日本記録に並んだ。イチローの経歴にまた1つ偉大な記録が加わったが、本人の反応は意外なものだった。

「それ何? あ、そう。『だから?』って感じですけど。出てるだけでカウントされるものに僕は価値を見いだせないのでね。それに尽きるよね。人がどう思うかは勝手だけど、僕の中には(意味は)ない」

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