黒田博樹はなぜ現役引退を考えるのか 衰えを見せない39歳の覚悟とプロ意識

全ての登板で完全燃焼しようとする姿勢

 1年間、全ての登板で壮絶な思いを胸にマウンドに上がる。だからこそ、黒田は鬼気迫る投球ができる。そのための準備をキャンプでしなくてはいけないのだから、「やりたくない」という感情が湧いてくることもあるだろう。

「自分の思い通りに体が動かないとか、ケガとか、もどかしい気持ちで引退せざるを得ない人が多い中で、こうやって何とか、万全ではないけど、ある程度自分でマウンドに上がれる状態ならば、そこは野球人としてやらなきゃいけないのかなという気持ちはありました。毎年、プレーオフにチャレンジしていくチーム(ヤンキース)の中で必要とされることで、気持ちを入れ替えさせてもらえた」

 キャンプでは、ここ数年は投げることのなかったカットボールの再習得を始めた。プロとして常に向上心を失わない。これも黒田の強さの1つだ。

 練習では、新加入の田中を気遣う場面も目立った。全体練習がオフとなった3月10日には「こんなに休みがうれしいものかと思いますね。39歳なので」と話し、報道陣を笑わせたこともあった。それだけ、濃密なキャンプを過ごしていた。

 そして迎えた開幕戦前日の3月31日には、シーズンにかける並々なら覚悟を明かした。

「ここ何年かは、毎年最後のシーズンという気持ちで常に入っているので、それは変わらない。それが徐々に現実味を帯びてくるというか、そういう年齢になってきているとは思いますけどね。また新しい39歳としてのシーズンなので、何が起こるか全然分からないです。そういう部分での怖さはありますけど、シーズンに入れば1試合1試合完全燃焼していくしかない」

 そして、「悔いなく、という思いが強いか?」と聞かれると、強い口調で答えた。

「それは自分に言い聞かせないといけないと思いますし、そういう部分が薄れてくるとちょっとしんどくなってくる。毎試合、毎試合が最後のつもりでやりたいなとは思ってます」

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