イチローの素顔を語る川崎宗則 まだまだ夢はあきらめない

川崎を夢へと導いてくれたイチローの存在

 今年、ブルージェイズでプレーした川崎宗則内野手はまだ来季のプレー先が決まっていない。それでも表情が明るいのは、自分の方向性がはっきりしているからだろう。

「イチロー選手と同じチームだけを希望しています」

 2011年オフ。メジャー挑戦を受けて、川崎は入団会見で口にした。憧れであり、師と仰ぐ。自分の道しるべとなったイチローへの敬意を包み隠さずに堂々と明かした。川崎のイチロー愛は、メディアを通じて、野球ファンに知れ渡った。

 マリナーズに決まり、ユニホームの背番号は61。「逆から読むとイチ(1)ロー(6)です」。2人の写真をプリントしたTシャツを着用したことも。練習中もずっと後ろをついてまわった。

 ときは流れ、別々のチームへと移った今でも交流は変わらない。シーズン中でもイチローのヤンキースとゲームをすれば、川崎はまっすぐに挨拶へ行く。「たっぷりと話し込んできました」と野球や自身の近況などの話をし、心を落ち着かせた。何より、マイナーとの行き来となっていた川崎にとってはメジャーにいられる実感のある時間だった。ヒットを打つことや、勝利することと同じくらい、居心地の良い瞬間だっただろう。

 川崎を夢へと導いてくれたのはテレビの向こう側にいたイチローだった。だからこそ、メジャーリーガーになった川崎も、テレビやインターネットのニュースを見て、自分を見てくれている野球少年の夢を応援したいという思いがある。

 球場での楽しいパフォーマンスだけでなく、今オフの帰国後の野球教室や学校訪問でも惜しみなく自分をさらけ出している。

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