レスター加入で期待感に溢れるカブス 「ヤギの呪い」はついに解けるか

106年もの間、世界一から遠ざかっているカブス

 物事がうまく運ばない時、洋の東西を問わずして、人は神頼みをするものだ。どこからか救世主が現れないものだろうか? 今度こそ願いが叶わないものか? そんな思いを1世紀以上にわたり脈々と受け継いできたのが、老舗球団シカゴ・カブスのファンたちだ。

 ワールドシリーズで最後に優勝したのは1908年のこと。「ヤギの呪い」に苦しめられ、プレーオフ進出は果たしても頂点まではたどり着けない。最近20年を振り返ってみても、サミー・ソーサ、ケリー・ウッド、アルフォンソ・ソリアーノら、救世主かと願った選手に肩すかしを食らわされてきた。

 だが今オフ、オオカミ少年にだまされ慣れた感のあるファンが、いつにも増して期待感で目を輝かせる選手がやってきた。メジャー屈指の左腕ジョン・レスターだ。

 今オフのフリーエージェント(FA)市場でタイガースからFAとなったシャーザーと並び、2大注目株とされていたレスターが、球団史上最高となる6年1億5500万ドル(約183億円)でカブスとサインした。ジャイアンツ、レッドソックスをはじめとする複数球団が争奪戦を繰り広げた結果、契約合意の報道が流れたのはウィンターミーティング開催中の9日夜更け。それまでの約2週間、ツイッター上では「情報筋によるとレスターの気持ちはジャイアンツに傾き掛けている」「やはりプレーし慣れたレッドソックスがいいようだ」「いやいやカブスがリードしている」など情報合戦がヒートアップして緊張感が高まっていただけに、「カブスと合意」の一報が流れた時はウィンターミーティング会場がなぜかホッとした空気に包まれた。

 入団会見が行われたのは、シカゴに家を持つオバマ大統領が記念日に出掛けるスピアッジアという高級イタリアンレストラン。ダウンタウンの目抜きどおり沿いにあり、レストランからミシガン湖畔が一望できる。本拠地リグリーフィールドが改修工事真っ只中で使用できないとは言え、約1カ月前に行われたマドン新監督の就任会見は球場向かいのスポーツバーで行われたのと比べれば、ファンだけではなく球団もレスターを“救世主”として崇めたい気持ちがにじみ出ているようだ。

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