主力大量放出で注目を浴びる“ミスター・マネーボール”の手腕

アスレチックスのビーンGMが実践するマネーボールの鉄則とは

 例年にも増して大きな動きが多い今オフ。球団史上例を見ない大型補強に乗り出したパドレス、意中のレスターを射止めたカブスなど話題に事欠かないが、主力放出大盤振る舞いで注目を集めているのが、“ミスター・マネーボール”ことビリー・ビーンGM率いるアスレチックスだろう。

 今年のオールスターに選ばれた6選手のうち4選手を最近5カ月でトレード放出。チームの中心でもあるスター選手、ドナルドソンをブルージェイズに送った時は、誰もが驚きの声をあげたに違いない。7月31日のトレード期限からこれまでに見せたビーンGMの動きには一貫性がないように見えるかもしれないが、すべては「高く売って安く買う」というマネーボールの基本に則ったものだ。

 始まりは、アスレチックスの今季の戦い方にある。前半にア・リーグ西地区で圧倒的な強さを見せつけ、目標の世界一も決して夢物語ではないように見えた。だが、怪我人が続出した上、後半からエンゼルスが巻き返し態勢に入った。

 だが、今季を勝負時と見たビーンGMは大型トレードを敢行。セスペデスとの交換トレードでレッドソックスから左腕レスターとゴームス、そしてトッププロスペクト(若手有望株)のラッセルを含めた交換トレードでカブスから右腕サマージャとハメルを手に入れた。結果はご存じのとおり、ワイルドカード枠で3年連続プレーオフ進出を果たしたものの、ロイヤルズの勢いに飲まれて早々に敗退となった。

 シーズン途中に大勝負に出たが叶わなかったアスレチックスに残されたものと言えば、今が旬真っ盛りというスター選手たちと、トレード放出で若手有望株の枯渇した傘下マイナーシステムだった。そこで登場するのが、マネーボールの鉄則「高く売って安く買う」だ。

 まずは、今最も脂が乗っている三塁ドナルドソンの代わりに、ブルージェイズから同じく三塁ローリーとノリン、グレーブマン、バレトを獲得。続いて、3年連続20本塁打以上を記録した外野/一塁モスをインディアンスに送って24歳の内野手ウェンデルを手に入れると、保有権が1年しか残らないサマージャをホワイトソックスへ送り出し、来季の先発遊撃になるであろうセミアンと3選手の獲得に成功した。最後は、25歳の捕手ノリスとの交換トレードで、パドレスからアルバレスとハーンを獲得している。マネーボールの鉄則を実行したというわけだ。

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