黒田博樹の広島復帰は「ヤンキースに大打撃」 米メディアが報じる

「黒田を失ったことはすでに疑惑のローテーションをより脆弱にさせた」

 今オフ、マーリンズからトレードでネーサン・イオバルディ投手を獲得したが、24歳の速球派は健康面に懸念材料を抱えているという。高校時代にトミー・ジョン手術を受けており、2013年にも肩の故障で3カ月間離脱したことも伝えている。2014年シーズンで33試合に先発し、6勝14敗、防御率4・37。199回2/3の投球回数はキャリアで飛び抜けた数字だった。

 34歳のCCサバシアは今季膝の手術により、8試合の登板に終わった。近年の不振から「エースの座から退任した」とも評されている。右腕マイケル・ピネダ投手は右肩の手術で2012年、13年を棒に振り、14年も不正投球や負傷などで13試合、76回1/3のみの登板に留まった。輝けるルーキー、田中将大投手も右肘靭帯の部分断裂により、シーズン途中に2か月半戦線を離脱している。

 現時点では、ヤンキースと再契約した36歳の左腕クリス・カプアーノ投手が先発5番手候補とされており、トミー・ジョン手術から来季途中に復帰予定のイバン・ノバ投手については「当てにはできない」と分析。一方、今季先発ローテーションの一角を担ったシェーン・グリーン投手とデビッド・フェルプス投手がトレードでチームを去ったことで、「メジャーで通用するレベルの投手陣の層は薄くなった」と指摘している。

 そのような状況のヤンキースにおいて、圧倒的な安定感を誇る黒田の移籍は計り知れないダメージとなる。「ヤンキースは先発ローテーションの健康に天運を託すことも可能だが、故障の問題はシーズン前に予期できるものではない。ブライアン・キャッシュマンGMには朗報ではない」とし、「黒田を失ったことはすでに疑惑のローテーションをより脆弱にさせた。すでにトレード要員は放出してしまった。フリーエージェントの補強候補は1日ごとに少なくなっている。危機感は募っていく。まだ獲得できる選手はいないか? それはマックス・シャーザーだ」とも伝えている。

 ヤンキースはここ2年連続でプレーオフ進出を逃した。リーグ総年俸1位の座はドジャースに譲ったものの、ベテランの大型契約選手を多く抱え、補強をせずとも巨額の支出を余儀なくされている。キャッシュマンGMは人件費を抑制するために今オフはこれまでのような超大型補強を控えてきた。

 FA市場の目玉で大型契約を求めている2013年のサイ・ヤング賞投手シャーザーに関しても、争奪戦には参戦しない姿勢を見せてきたが、黒田の広島復帰の決断を受け、キャッシュマンGMとオーナーサイドは再び大型補強路線を選択せざるを得ないかもしれない。ヤンキースの今後の動向が注目される。

【了】

フルカウント編集部●文 text by Full-Count

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