得点力を効率よく高める補強をしたチームはどこ?(パ・リーグ編)

控え選手の層も厚くなりそうなオリックス

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wOBAと打席数で見るオリックスと西武の攻撃力構造

 オリックスは主力クラスの攻撃力がまんべんなく高くギャップが小さかったが、100打席未満の打者のwOBAが.235とガクンと落ちている。これは戦力をフルに使い切ったとも、層の薄さに苦しんだともとれる。

 主軸のウィリー・モー・ペーニャ(572打席)が抜けたが、手厚く補強した。DeNAからトニ・ブランコ、NPBに復帰した中島裕之、日本ハムから小谷野、また中日を戦力外になった捕手の田中大輔を獲得した。

 ブランコ、中島、小谷野の3人がフルに働ければ、ペーニャの穴を埋めて余りある。エステバン・ヘルマン(595打席)などは大幅に打席数を減らす可能性があるが、100打席未満の打者のwOBA(薄い水色の部分)が上に向かって伸びれば、ケガなどで主力が欠けた際の攻撃力低下を抑えられ、昨年より頑強な編成となりそうだ。

 西武は主軸打者が高い攻撃力を見せたが、打席の半数は平均以下のwOBAの打者が担っており、得点増を妨げていた可能性がある。獲得したアンソニー・セラテリがコーディ・ランサム(138打席・wOBA.292)以上の成績を残し、また捕手の森友哉(92打席・wOBA.411)が炭谷銀仁朗(423打席・wOBA.241)からレギュラーを奪い打席数を伸ばせば、攻撃を断ち切るギャップはいくらか埋まるだろう。

 このオフの補強により、ギャップが埋まりそうなのはオリックス、日本ハムか。補強以外の要素では、アルフレド・デスパイネが打席を伸ばし、捕手の金澤などがギャップを埋める可能性のあるロッテ、やはり捕手の森の長打力に期待が集まる西武も得点力を上げそうだ。

【セ・リーグ編はこちら】

【了】

DELTA・Student・秋山健一郎●文  text by DELTA Student AKIYAMA,K.

DELTA プロフィール

DELTA  http://deltagraphs.co.jp/
2011年設立。セイバーメトリクスを用いた分析を得意とするアナリストによる組織。書籍『プロ野球を統計学と客観分析で考える セイバーメトリクス・リポート1~3』(水曜社刊)、電子書籍『セイバーメトリクス・マガジン1・2』(DELTA刊)、メールマガジン『Delta’s Weekly Report』などを通じ野球界への提言を行っている。今年も『セイバーメトリクス・リポート4』を3月に発売。今回紹介したStudent氏の分析は同書に収録される。

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