【パ×Full-Count】ファイターズが台湾戦略を仕掛ける理由 キーワードは「観光」と「陽岱鋼」

陽岱鋼を旗頭に台湾市場へ

 2004年シーズンから北海道に球団を移転し、地域に根ざした球団運営を続けている北海道日本ハムファイターズ。移転3年目の2006年シーズンには44年ぶりの日本一に輝き、以来4度のリーグ制覇(2006、2007、2009、2012)を遂げるなど、強豪としての地位を確かなものとしている。

 そのファイターズが本拠地を置く北海道は、今、外国人観光客の流入増加がホットな話題となっている。

 日本自体への観光客流入は増加の一途を辿っており、2003年には521万人だった訪日外国人数は、2013年に1036万人と10年間で倍増し、2014年は1300万人を超えるほどに成長している。そして北海道への流入もそれと比例して伸びており、2003年の29万人から2013年は115万人と、約4倍の規模へ膨れあがった。

 そして、そこに共通するのが台湾からの訪日の多さだ。

 日本政府観光局の資料によると、2013年の訪日外国人1036万人のうち、何と台湾からの訪日が221万人で21.3%を占める。1位は韓国で23.7%、台湾は2位だ(3位は中国の12.7%)。台湾の人口は2337万人(2013年)であり、約10人に1人が日本を訪れていることになる。北海道はその傾向がより顕著で、2013年の訪日外国人115万人の内、台湾からの訪日が41万人となっている。

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年別訪日外国人数

 北海道への外国人観光客の流入が増えているのは数年前からのトレンドだが、ファイターズはその流れを敏感に感じ取り、台湾を中心としたアジアマーケットへのアプローチを積極的に展開している。

 (株)北海道日本ハムファイターズ・事業統轄本部の佐藤拓氏(コンシューマビジネス部・マーケティンググループ長)は、アジアマーケットへアプローチした端緒をこう語る。

「北海道はもともと、観光地としてのバリューが高い土地です。現在も日本は全国的に海外からの観光客が増えていますが、その中でも北海道の伸びは段違いです。データからも分かりますが、その中でも台湾からの訪日が圧倒的に多くなっています。そこでキーになったのが、陽岱鋼の存在です。

 台湾の野球界は、2009年に八百長問題が影響して球団数が減るなど、人気が低迷していました。しかし2012年に行われたWBCの予選で、台湾は同じグループに入った韓国を退けて予選突破を果たしました。最終戦となった韓国との直接対決でも、陽はタイムリーを放ち、台湾の予選突破を確実なものとしました。

 台湾はもともと野球人気の高い地域ですが、陽はWBCの活躍もあって、“人気低迷を救ったスーパースター”という位置づけになっています。日本の中で観光が伸びている側面、そして陽岱鋼の人気がトレンドとしてマッチした。そこで台湾市場を開拓できないかと動き始めました」

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