過去に失言? マーリンズ社長の「イチロー愛してる」発言の理由

2人は因縁の過去を水に流した?

 実は、2人は因縁の関係だったようだ。

 2007年、ESPNラジオの「ダン・ル・バタード・ショー」に毎週ゲスト出演していたサムソン社長は、当時、マリナーズに所属していたイチローが年俸2000万ドル(現在のレートで約23億6000万円)で契約延長すると流れていた噂に対して、こんな発言をしていたという。

「そんな金額に見合う選手など、世の中には存在しない。イチローは自分のチームをどこにも導いていない。ゼロだ。こんな契約はこのスポーツをまさに破滅させるものだ」

 実際のところ、イチローの新たな契約は5年9000万ドル(同約106億円)という内容だった。ただ、この発言でサムソン社長は全世界的なバッシングを受けたとされている。アレックス・ロドリゲス内野手(現ヤンキース)は2001年にすでにレンジャーズと10年2億5200万ドル(同約300億円)という大型契約を結び、年俸2000万ドル超えの選手は誕生していただけに「メジャーリーグは崩壊していないではないか」などと多くの反論が球団社長に押し寄せたという。

 さらには記事では、マリナーズのビル・バベシ元GMが「私の母親が教えてくれた。言いたいことがあるなら、Fxxxデイブ・サムソンとだけ言って、あとは何も言わなくていい。だから、私は何も話すつもりはない。私の母親は偉大だろう」と反撃したことにも触れている。

 記事では「当時結んだ年俸総額9000万ドルの5年間で、イチローの成し遂げたことといえば、将来の殿堂入りを確実にしたことだった」と指摘。5年間の3311打席で年平均202.8安打を記録したイチローは、すでにバットでサムソン社長の“失言”に対する答えを出している。

 壇上で愛情を表現した球団社長と意味ありげな笑みで応えたイチローは過去を水に流し、マーリンズのワールドシリーズ進出という野望に力を合わせることに決めたのかもしれない。

【了】

フルカウント編集部●文 text by Full-Count

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