カーショー、田中、そして前田へ 黒田博樹と“1988年組”の不思議な縁

カーショー、田中と同じ1988年生まれの前田、さらなる飛躍の1年にできるか

 同じ関西出身ということもあり、2人の距離が縮まるのに時間はかからなかった。MLB中継で、黒田と田中がヤンキースタジアムのダッグアウトに並んで座り、談笑する姿を見たことがある人も多いだろう。

 オフに入り、田中はあらゆる取材で黒田の存在が極めて大きかったことを明かしている。メジャーへの適応を手助けしてくれただけでなく、チームメートとしても純粋に信頼関係を築いた。田中に与えた影響も大きかった。

 そして、今年の広島で黒田と貴重な過ごすのは、カーショー、田中と同じ1988年生まれの前田健太だ。2007年にも黒田とチームメートではあったが、当時はチームの看板エースと高卒ルーキーの間柄で、距離があった。しかし、今年は先発ローテーションを引っ張る「ダブルエース」として期待がかかる。一緒に過ごす時間も多くなるはずだ。

 2月で40歳になったばかりの黒田は若手へのアドバイスなどについて「自分が今まで経験してきたことをチームのみんなに還元していければいいかなと思いますし、それに関しては惜しむことなく色んなことで力になれれば」と話している。さらに、今年27歳になる前田も黒田が合流した当初にアドバイスを求めたか聞かれ「これから長いんで、そんなに焦んなくても」と明かした。これからじっくりと吸収できるものを探していくようだ。

 将来的なメジャー移籍を目指す前田にとって、黒田から学べるものは多い。もちろん、日本球界で生かせるものもあるはずで、アドバイスが今年の投球の中で生きることもあるだろう。今年は間違いなく、カーショーや田中と同じように「ターニング・ポイント」となるはずだ。

 黒田が「マエケン」と呼び始めるなど、2人の距離は早くも縮まり始めている。偉大な右腕と時間を共にする1988年生まれのエースが、またもさらなる飛躍のきっかけを掴むのか。今年は前田の変化にも注目したい。

【了】

フルカウント編集部●文 text by Full-Count

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