ヤクルト・由規、「3・11」から始まった完全復活へのカウントダウン

投手コーチも「いいものを見せてもらった」と評価

 2012年の同じ日。由規は広島とのオープン戦(福山)に先発した。意気込んで臨んだが制球が定まらず、2回までに6安打3失点。最後は松山の打球を右膝下に受けて、3回途中で降板した。

 そのことが脳裏をよぎったのか、この日も試合前のブルペンではフォームのバランスが悪く、お世辞にもいいとは言えない内容だった。

「無事に最後まで投げられるか不安はありました」

 そんな心配をよそに、マウンドでは別人に変貌した。直球の制球が悪いと見るや、スライダーを軸に組み立てを変更。糸井嘉男、ブランコ、中島裕之らがスタメンに名を連ねた重量打線を手玉に取った。

 高津投手コーチは「ブルペンでは良くなくて、ヒヤヒヤしたけど、あれだけ投げられるとは思わなかった。ゲームに入ると、1つギアが上がる。いいものを見せてもらいました」と驚きを隠さなかった。

 しかし、快投したにもかかわらず、試合後に2軍降格が告げられた。真中満監督は「内容的には非常に良かった」と認めつつも、「最低でも100球ぐらいは投げられるようにならないと」と投げる体力を取り戻すことを注文した。

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